
宿泊業界で外国籍人材を雇うときの注意点 ~「技人国」と「特定技能」の違い~
現在、宿泊業界はインバウンド需要の回復と人手不足の深刻化に直面しており、多くの宿泊施設が外国籍人材の採用を検討しています。その際、最も重要なのが在留資格(ビザ)の正確な理解です。特に、宿泊業界で多くを占める「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)と「特定技能」は、資格保有者が行える業務の範囲に大きな違いがあります。この違いを理解しないまま採用を進めると、法令違反やトラブルの原因となるため、この記事ではこれら2種の在留資格の特徴と業務の適用範囲について詳しく解説します。
※「技人国」ビザと「特定技能」ビザの違いについて詳しくはこちら↓
「技人国」ビザを持つ人材の特徴と注意点
この在留資格は、自然科学・人文科学分野の専門知識や技術、または外国の文化に基盤を有する思考や感受性を持つ外国籍人材を対象としています。特定技能と比較して、学歴や実務経験に関する取得要件が厳しく設定されています。宿泊業界においては、語学力を活かした通訳や翻訳業務、マーケティング、マネジメントなどの専門的・技術的な業務に就く場合に該当します。
【特徴】
取得要件
大学卒業以上の学歴、または実務経験が求められます。在留資格の取得自体に日本語能力は必須ではないため、日本語能力試験などで一定のレベルが求められる特定技能人材の方が、日本語能力が高いケースもあります。
業務内容
主に企画、通訳・翻訳、マーケティングなど、専門的・技術的な業務に従事します。宿泊業界では、フロントでの通訳業務や、特定技能人材の教育・マネジメント業務などに従事する例が多く見られます。ゲストの送迎、客室清掃、配膳、食器洗いといった業務は単純労働と見なされるので従事できません。
雇用期間
契約内容によりますが、在留期限に上限はなく、長期的な雇用が可能です。要件を満たし続ければ、在留資格の更新を続けられるため、長く安定して働いてほしい企業にとって望ましい在留資格であると言えます。
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「特定技能」ビザを持つ人材の特徴と注意点
「特定技能」は、国内で人手不足が特に深刻な16分野において、一定の技能を持つ外国籍人材が就労できるビザです。宿泊業界もこの16分野内に含まれます。
【特徴】
実務経験
特定技能評価試験に合格する必要があるほか、日本語能力試験などで一定の日本語能力水準も求められます。即戦力として働くための技能水準が前提となります。
業務内容
「技術・人文知識・国際業務」では従事できないとされている、接客、フロント、清掃、料飲サービスの提供など、宿泊施設での現場の幅広い業務に就くことができます。これにより、人員配置に柔軟に対応することが可能です。
雇用期間
在留期間は通算で上限5年であり、「特定技能1号」の期間中は更新して5年を超えることはできません。ただし、要件を満たして「特定技能2号」へ移行すれば、在留期間更新の回数に上限がなくなり、永続的な滞在(および就労)が可能となります。
支援業務
特定技能人材を採用する場合、義務的支援と呼ばれる10項目の支援業務を行うことが義務付けられています。登録支援機関に委託、または自社にてこの支援業務を行う必要があります。
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定められた業務範囲以外の業務に従事していた場合どうなるのか
在留資格を申請する際、就労予定の内容と申請する在留資格の活動内容が合致していないと、入管での審査で不許可となる可能性が高まります。特に、申請書類に記載された業務内容と実際の勤務内容に明確な相違がある場合、申請が却下されるケースが増加しています。
さらに深刻なのは、在留資格が許可され就労を開始した後で、申請時の業務範囲外の活動に従事していることが発覚した場合です。この場合、在留資格の取り消しに加え、企業側にも重大な罰則が科される可能性があります。
人材側
在留資格の更新が不許可となり、最悪の場合は強制退去処分となります。
雇用企業側
不法就労助長罪として、懲役または罰金が科される可能性があります。仮に罰則を免れたとしても、入管からの信用を失うことで、次回以降の外国人材受け入れ申請の際に、審査が格段に厳しくなることが予想されます。
まとめ
宿泊施設が外国籍人材を雇用する際は、「どのような業務を任せたいか」という目的と業務内容に応じて、適切な在留資格を選ぶことが重要です。専門的なスキルを活かしたフロントでの通訳業務やマネジメント業務を任せるなら「技人国」を、客室サービスなど現場の幅広い業務を担ってもらうなら「特定技能」を検討するのが一般的です。
外国籍人材の雇用は、多言語対応によるインバウンド需要への対応強化と、人手不足の解消を通じた質の高いサービス提供を可能にします。ぜひ貴社の事業戦略と採用ビジョンに合致する最適な人材採用を進めてください。
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