
在留資格【技人国】徹底解説
本記事では、在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」について、基本的な情報、取得要件、採用のメリット・留意点、そして採用までの具体的な流れまでをわかりやすく解説します。国際的な専門人材の受け入れを検討されている企業様にとって、実務に役立つ有益な情報を提供いたします。
技術・人文知識・国際業務(技人国)とは
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」は、専門的な知識やスキルを活かして日本のオフィス業務などに従事する外国人を対象とした在留資格です。この資格は、日本の経済や産業において重要な役割を担う専門職に適用されます。
技人国の対象分野
技術分野
理学・工学などの自然科学分野の専門知識が必須となる業務。特に製造業やIT分野で高度な専門性が求められます。
主な職種例:
システムエンジニア(SE)、プログラマー、製品設計技術者、など。
人文知識分野
法律、経済、社会学などの文科系分野の知識を活かした業務。企業の経営・運営を支える専門性の高い職種が該当します。
主な職種例:
経営企画、経理、貿易事務、マーケティング、人事、など。
国際業務分野
外国文化や多文化への深い理解が必要な業務。母国の文化や言語の知識を活かし、国際的な事業展開を支援します。
主な職種例:
語学教師、通訳、翻訳、デザイナー、海外取引担当、など。
「技人国」を取得するための4つの要件
「技人国」を取得するためには4つの要件があります。それぞれ解説します。
1. 学歴・実務経験の条件を満たしていること
技術分野
以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
・技術分野に関する日本の大学、短期大学、大学院、または海外の同等教育機関を卒業していること
・技術の専攻分野に関する日本の専門学校を卒業していること
・技術分野での専門的な業務における10年以上の実務経験があること
人文知識分野
以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
・人文知識分野に関する日本の大学、短期大学、大学院、または海外の同等教育機関を卒業していること
・人文知識分野に関する日本の専門学校を卒業していること
・人文知識分野での専門的な業務における10年以上の実務経験があること
国際業務分野
以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
・国際業務分野に関する日本の大学、短期大学、大学院、または海外の同等教育機関を卒業していること
・国際業務分野に関する日本の専門学校を卒業していること
・国際業務の実務経験が3年以上あること
2. 企業の経営が安定していること
技人国の申請においては、企業の経営状況も重要な審査要件に含まれます。これは、外国人材が日本で安定した雇用環境のもとで継続的に就労できるかを確認するためです。審査の主なポイントは、下記になります。
適正な給与の支払い能力:
外国人材に対し、安定的に給与を支払うことができる十分な財務状況にあるか。
雇用の継続性:
長期的に雇用を継続できる健全な経営基盤が整っているか。
3. 給与が日本人と同等以上であること
雇用する企業においては、外国籍人材に対する給与が、同等の業務に従事する日本人と同等以上である必要があります。
4. 外国籍人材に素行不良がないこと
外国人申請者本人の素行(在留状況)も審査の対象となります。審査に影響する「素行不良」の主な例は、下記のとおりです。
犯罪歴:
過去に犯罪行為を犯したことがある場合。
納税義務の不履行:
住民税や国民健康保険料など、各種税金の滞納や未納がある場合。
法令違反:
過去の在留資格(留学など)において、資格外活動の規定(労働時間の上限など)を違反したことがある場合。
「技人国」の申請が不許可になりやすい事例とは
「技人国」の申請が認められないケースや実際に不許可になった事例には、次のようなものがあります。
1. 学歴や職歴と業務内容の関連性が低い
例えば、文系分野の学部を卒業した方を、未経験のエンジニアとして採用する場合、その業務に必要な専門知識やスキルを入社後にどのように習得・補完させるのかを明確に示さなければ、申請が認められにくくなります。
事例:
教育学部を卒業した者が、弁当加工工場での弁当の箱詰め作業に従事するために在留資格の申請を行ったが、不許可となった。
不許可理由:
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、工場等での単純労働は認められません。当該業務が、申請者が大学等で学んだ人文知識または自然科学の分野に属する知識を使用する業務ではないためです。
2. 業務に専門性がない
単純作業や、専門知識・スキルを活かせない業務は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では認められません。技能実習生が行うような業務と同内容の場合、申請は不許可となる可能性が高くなります。
事例:
工場内での出荷管理業務に従事するため申請を行ったが、不許可となった。
申請業務の内訳:
出荷計画に基づいた指示書や納品書などの書類作成、在庫へのラベリング、輸送業者手配、顧客とのスケジュール調整連絡など。
不許可理由:
申請された業務は、単なる入力作業に近い定型的な事務作業が主であり、技人国の要件を満たしません。この在留資格に該当するためには、申請者が自ら情報を分析・判断し、出荷計画の策定といった専門的な思考を伴う業務まで担う必要がある、との見解に基づき不許可となりました。
「技人国」のメリット
在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」のメリットを、外国籍人材と企業それぞれの視点から解説します。
外国籍人材にとってのメリット
1. 専門的なキャリアアップ
専門的な知識やスキルを活かし、日本で長期的なキャリアアップを目指すことが可能です。
2. 長期の在留期間が付与
在留期間として3ヶ月、1年、3年、または5年のいずれかの期間が付与されます。
(補足) 一般的には、新規申請時は1年が付与され、更新を繰り返すうちに3年や5年へ延びていくケースが多く見られます。
3. 家族の帯同(呼び寄せ)が可能
配偶者や子供の家族帯同(呼び寄せ)が認められているため、家族と安心して日本で生活することができます。
4. 申請書類の負担が少ない
特定技能と比較し、「技人国」の申請手続きは企業側が行うことが多いため、個人が準備する書類は比較的少なくて済みます。
(提出書類例) 雇用契約書、卒業証明書・成績証明書、職務経歴書、など
企業にとってのメリット
1. 優秀な人材の長期雇用
専門性の高い優秀な外国籍人材を長期にわたって雇用できるため、企業の持続的な成長を強力にサポートできます。
2. 専門人材による人手不足の解消
即戦力となる専門的な知識やスキルを持った人材の確保により、特定分野における人手不足の解消に貢献します。
3. コストとパフォーマンスの最適化
高い専門性を持つ人材を採用することで、採用後の育成コストを抑えつつ、高いレベルのパフォーマンスを期待できます。
4. 義務的支援の負担が不要
「特定技能」人材を雇用する際に発生する義務的支援(生活オリエンテーション、相談・助言など)が、「技人国」人材の雇用では不要です。
※在留資格「技人国」と「特定技能」を比較した記事も是非、ご一読ください。
「技人国」の留意点
在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の留意点についても触れておきます。
1. 業務内容の厳格な制限
在留資格「技人国」で働く際、職種や業務内容には厳格な制限があります。許可された専門外の業務に従事した場合、在留期間の更新や新たな在留期間の承認が認められない可能性があります。この制限は、企業にとって柔軟な人員配置を困難にし、また外国籍人材のキャリアの幅を狭める要因となります。
2. 社会保障制度と生活環境への適応
日本の社会保障制度(医療保険、年金など)を利用する際、文化の違いや言語の壁に直面することがあります。特に、医療機関の利用や複雑な制度への加入手続きは、適切な支援がなければ困難な場合があるため、企業側のサポートが不可欠です。また、家族帯同の場合、子供の教育体制に関する不安も考慮すべき点です。
3. 申請手続きと審査期間の負担
在留資格の申請においては、書類の不備や誤記入が審査の遅延に直結するため、慎重かつ正確な準備が求められます。さらに、入国管理局の審査には通常1ヶ月から3ヶ月程度の時間を要することがあり、この長期にわたる待ち時間が、外国籍人材の入社予定や生活設計に影響を与える場合があります。
「技人国」人材の採用プロセス
「技人国」人材の採用は、「海外に在住している人材を採用するケース」と、「日本国内に在住している人材を採用するケース」の二通りに大別されます。それぞれの採用プロセスを以下にご説明します。
海外在住の人材を採用する場合
Step1. 雇用契約の締結
採用を決定した企業と外国籍人材が正式に雇用契約を締結します。この契約において、具体的な業務内容、給与体系、労働時間などの労働条件を明確に定めます。
Step2. 企業による「在留資格認定証明書」の申請
企業(または代理の行政書士)は、外国籍人材が日本で就労するために必要な「在留資格認定証明書(COE)」を出入国在留管理庁(入管)へ申請します。これは、日本での就労を法的に認めるための重要な事前審査書類です。
Step3. 外国籍人材による日本査証(ビザ)の申請
証明書(COE)が交付された後、外国籍人材は自国の日本大使館または領事館にその証明書を提示し、査証(VISA)を申請します。この査証が発給されることで、日本への上陸許可を得る準備が整います。
Step4. 来日と就労開始
査証(ビザ)が発給されたら、外国籍人材は日本に入国します。空港や港で在留カードが交付され、その後、契約を締結した企業での就労を開始します。
日本国内在住の人材を採用する場合
Step1. 雇用契約の締結
企業は、すでに日本に在留している外国籍人材と正式な雇用契約を締結します。契約書において、具体的な業務内容や給与体系などの勤務条件を明確に定めます。
Step2. 外国籍人材による在留資格変更許可申請
外国籍人材の現在の在留資格や転職後の業務内容によって、以下の手続きが必要となります。
変更不要なケース:
すでに「技人国ビザ」を持っており、かつ同じ職務内容で働く場合は、在留資格の変更手続きは不要です。
変更が必要なケース:
留学や他の就労ビザから「技人国」へ変更する場合、外国人材本人が出入国在留管理庁へ「在留資格変更許可申請」を提出します。
【申請時に必要な主な書類】
・学歴を証明する書類(卒業証明書、成績証明書など)
・職歴を証明する書類(在職証明書、給与明細など)
・雇用契約書(仕事内容や給与の条件が記載されたもの)
・受け入れる企業の情報(会社概要、事業内容など)
Step3. 就労開始と届出義務
在留資格変更許可が下りた後、契約した企業で新しい仕事を始めることができます。
(補足) すでに「技人国ビザ」を持っていて、同じ業務内容のまま転職する場合は、転職後14日以内に出入国在留管理庁へ「所属機関に関する届出」を提出する必要があります。
「技人国」人材を採用する際の注意点
「技人国」人材を採用する際は、入管法をはじめとする関連法令を遵守することが不可欠です。ここでは、特に注意すべき3つの重要ポイントを解説いたします。
1. 業務内容と学歴・職歴との整合性の確認
採用予定の業務内容が、外国人材の学歴(具体的な専攻カリキュラム)や過去の職務経歴(プロジェクト実績など)と専門的に一致しているかを詳細に確認する必要があります。卒業証明書や職務経歴書を精査し、従事する仕事との関連性を明確にします。業務内容と実際に携わる職務が一致しない場合、在留資格の更新や変更が難しくなる可能性があります。
2. 給与水準の適正化(同一労働同一賃金)
外国人材に対しては、同等の業務に従事する日本人と同等以上の給与を支払うことが義務付けられています。労働条件を明確にし、不公平な待遇とならないよう、給与水準の適正化に注意を払いましょう。
3. 在留資格の更新・変更手続きの徹底
在留期間の更新や、外国人材の業務内容・所属機関に変更が生じる場合は、必要な届出や申請を速やかに行える体制を整えておくことが極めて重要です。手続きを怠ると、外国人材が合法的・継続的に日本で働き続けられなくなる可能性があります。
まとめ
本コラムでは、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の概要と、採用における重要なポイントを解説しました。
「技人国」は、高度な専門知識を持つ人材を長期雇用できる大きなメリットがありますが、取得には学歴・職務との関連性、企業の安定性、日本人と同等以上の待遇といった厳格な要件と、単純労働の制限があります。不許可事例や手続きの煩雑さといった留意点も存在します。
これらの要件や注意点をしっかりと理解し、適切な手続きを踏むことが、優秀な専門人材を確保し、企業の成長に繋げるための第一歩です。本コラムを参考に、「技人国」人材の採用活動を成功させましょう。
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