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介護業界 外国人材採用実践ガイド

介護業界における人手不足は深刻です。打開策のひとつとして、かねてから外国人材の採用は注目されています。この記事では、介護施設での外国人材を採用するために必要な4つの在留資格である『EPA(介護福祉士候補者)』『介護』『技能実習』『特定技能1号』をご紹介するとともに、それぞれの業務範囲や今後のキャリアについて詳しく解説します。これからの高齢社会を見据えた具体的な採用戦略を考える上での参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 介護業界の人手不足について
  2. 外国人材の受け入れについて
  3. 介護業界における在留資格の種類
  4. 外国人介護人材の受け入れの仕組み
  5.  EPA
    1. 1.人材の特長
    2. 2.業務範囲
    3. 3.在留期限
    4. 4.ほかの在留資格との違い、注意点
    5. 5.キャリアプラン、日本で長く働くためには
  6. 介護
    1. 1.人材の特長
    2. 2.業務範囲
    3. 3.在留期限
    4. 4.ほかの在留資格との違い、注意点
    5. 5.今後のキャリアプラン、在留資格切り替えの選択肢
  7. 技能実習
    1. 1.人材の特長
    2. 2.業務範囲
    3. 3.在留期限
    4. 4.ほかの在留資格との違い、注意点
    5. 5.今後のキャリアプラン、在留資格切り替えの選択肢
  8. 特定技能1号
    1. 1.人材の特長
    2. 2.業務範囲
    3. 3.在留期限
    4. 4.ほかの在留資格との違い
    5. 5.今後のキャリアプラン、在留資格切り替えの選択肢
  9. 訪問介護について(令和7年4月以降)
    1. 1. 遵守事項(5点)
    2. 2.要件(2点)
  10. 外国人材採用のポイント
    1. 1.受け入れ機関としての事業所要件を満たしているか確認
    2. 2.日本語教育の提供
    3. 3.文化理解の促進
  11. まとめ

介護業界の人手不足について

日本では少子高齢化が進む中、介護業界は特に人手不足が深刻な問題となっています。2022年の厚生労働省の調査によれば、全国の介護職員は215万人。2040年度に必要とされる推定の介護職員数は272万人であることから、このまま雇用が増えなければ職員の不足数は57万人となる見込みです。

外国人材の受け入れについて

このような深刻な人手不足の状況を打破するため、日本人の採用だけでなく、外国人材の採用が重要視されています。外国人材の採用に関しては、法律や制度が整備されており、正しく適用することで多様な人材を受け入れることが可能です。次の章以降では、介護施設での外国人材採用の際に必要な在留資格をそれぞれ説明し、業務範囲、今後の展望について詳しく見ていきましょう。

介護業界における在留資格の種類

外国人をお受入れする際、介護業界では下記の在留資格での入国が想定されます。
・EPA(介護福祉士候補者)
・介護
・技能実習
・特定技能1号
・留学
※留学は勉学が目的の在留資格となるため、以降は省略させていただきます。

外国人介護人材の受け入れの仕組み

4つの在留資格について、それぞれの仕組みと受け入れの流れは以下のようになります。
次の章でそれぞれ詳しく解説させていただきます。

※出典:厚生労働省 外国人介護人材の受入れについて「外国人介護人材受入れの仕組み」

 EPA

EPAは経済連携協定に基づき、日本と特定の国との間で人材交流を促進するための在留資格です。この制度は、介護福祉士候補者として受け入れ、実務経験を積みながら「介護福祉士」の資格取得を目指すことを目的としています。日本ではインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国からの受け入れを行っております。

1.人材の特長

(ア) 就労時にはN3程度以上の日本語能力があります
(イ) 母国で介護士認定を受けている人材のみ該当します
※提携国からの推薦も必要

2.業務範囲

訪問系サービス以外のすべての業務に従事可能です。介護福祉士の資格取得後は、訪問系サービスも可能となります。
(ア) 身体介護:食事介助や入浴介助、排せつ介助、移乗介助
(イ) 支援業務:リハビリ、レクリエーションの実施
(ウ) 関連業務:備品や用具の点検/補充、掲示板の管理

3.在留期限

EPAとしての在留は最長4年となります。
入国後4年目で介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」移行し永続的に就労可能ですが、不合格の場合は帰国しなければいけません。

4.ほかの在留資格との違い、注意点

(ア) インドネシア、フィリピン、ベトナムの国籍の人材しか採用できません
(イ) 後述の3つの在留資格と比較して在留者数が最も少なく、また1施設における受け入れ可能人数が決められています(原則2名以上5名以内/国)
(ウ) 唯一の受け入れ調整機関である国際厚生事業団(JICWELS)によるマッチング支援が受けられます ※事前に受け入れ期間としての要件を満たしているか確認が必要です

5.キャリアプラン、日本で長く働くためには

(ア) 介護福祉士資格取得後、在留資格「介護」に移行していただくことで、在留期間を更新しながら就業可能となります。移行後は、マネジメント業務にも携わることが可能です。

介護

日本の国家資格である「介護福祉士」を持った外国人材が日本で介護や介護指導を行うための在留資格が「介護」です。

1.人材の特長

(ア) 外国人留学生等の在留資格で入国し、日本の介護福祉士養成施設で2年以上勉強しています
(イ) もしくは、技能実習生や特定技能として入国し、介護施設で3年以上従事しています
(ウ) 上記に加えて「介護福祉士国家試験」に合格しています

2.業務範囲

業務範囲に制限はなく、通常の介護業務に加え、専門的なケア計画の作成や実施なども可能です。
(ア) 身体介護:食事介助や入浴介助、排せつ介助、移乗介助
(イ) 支援業務:リハビリ、レクリエーションの実施
(ウ) 関連業務:備品や用具の点検/補充、掲示板の管理、専門的なケア計画の作成や実施

3.在留期限

上限がなく、更新を行うことで永続的に就労が可能となります。

4.ほかの在留資格との違い、注意点

(ア) 高い専門性を持ち、家族の帯同も可能となります。
(イ) 入国時は別の在留資格でも最終的には在留資格「介護」を取得することで長期滞在が可能です。

5.今後のキャリアプラン、在留資格切り替えの選択肢

(ア) 管理職やケアマネジャーとしてのキャリアアップが可能です。

技能実習

技能実習制度は、日本の技能や知識を母国の発展に役立てる事を目的とした制度です。
技能実習生は、日本の介護現場で一定期間働きながら技術を学び、最終的には母国へ帰国することになります。

1.人材の特長

(ア) 入国時はN4程度の日本語レベルとなりますが、1年後にはN3程度が要件となります。

2.業務範囲

訪問系サービス以外のすべての業務に従事可能です。
(ア) 身体介護:食事介助や入浴介助、排せつ介助、移乗介助
(イ) 支援業務:リハビリ、レクリエーションの実施
(ウ) 関連業務:備品や用具の点検/補充、掲示板の管理

3.在留期限

入国1年目、3年目、5年目でそれぞれ技能評価試験が設けられており、合格していくことで最長5年間の実習を受けることが可能です。

4.ほかの在留資格との違い、注意点

(ア) 別の在留資格に切り替えない限り、5年以内に母国へ帰国する必要があります
(イ) あくまで実習生となる為、即戦力としての採用ではありません
(ウ) 監理団体が間に入り、受け入れの調整を行っています

5.今後のキャリアプラン、在留資格切り替えの選択肢

(ア) 3年目まで修了した技能実習生は「特定技能1号」に必要な試験が免除となります
(イ) 介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」への切り替えが可能です

特定技能1号

特定技能は、介護分野で即戦力として働ける外国人を対象としており、日本の深刻な人手不足を補うことを目的としています。介護業界における特定技能1号は、介護分野における一般的な業務を行うことができ、資格を取得するためには、介護の知識や技能を証明する試験に合格する必要があります。

※特定技能については、併せてこちらの記事もご覧ください

  【特定技能1号2号】違いを徹底比較 | 外国人雇用を始める前に知っておくべきポイントとは 特定技能には「1号」と「2号」があり、それぞれ対象分野や取得条件に違いがあります。特に、2023年6月には特定技能2号の対象分野が大幅に拡大され、注目を集めています。 株式会社広済堂ビジネスサポート


1.人材の特長

(ア) 特定技能の評価試験に合格しており、日本語能力試験(N4以上)に合格しています
(イ) 技能実習から特定技能に切替しているケースもございます

2.業務範囲

訪問系サービス以外のすべての業務に従事可能です。
(ア) 身体介護:食事介助や入浴介助、排せつ介助、移乗介助
(イ) 支援業務:リハビリ、レクリエーションの実施
(ウ) 関連業務:備品や用具の点検/補充、掲示板の管理

3.在留期限

最長5年間となります。

4.ほかの在留資格との違い

(ア) 業界に関する基礎知識がある為、技能実習生と比較して即戦力となりやすいです
(イ) 家族帯同不可であり、長期的に働くためには在留資格「介護」への切り替えが必要となります

5.今後のキャリアプラン、在留資格切り替えの選択肢

(ア) 介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」への切り替えが可能です

訪問介護について(令和7年4月以降)

これまで技能実習と特定技能では、訪問介護には従事不可でしたが、令和7年4月より、一定の条件下で、訪問系サービスに従事することが可能となりました。
具体的には、下記の遵守事項5点を守り、要件2点を満たしていることで、従事可能となります。

1. 遵守事項(5点)

(ア) 訪問介護の業務の基本事項等に関する研修実施
(イ) サービス提供責任者等による一定期間の同行等のOJTの実施
(ウ) 外国人介護人材への丁寧な説明、外国人介護人材との共同でのキャリアアップ計画の作成
(エ) マニュアルの作成や相談窓口の設置等によるハラスメント対策
(オ) 不測の事態に備えたICT活用等の環境整備

2.要件(2点)

(ア) 原則一年以上の介護事業所等での実務経験を有し、初任者研修等を修了した外国人介護人材であること
(イ) 利用者・家族に対し、書面により説明を行い、当該利用者又は家族に特定の書面に署名を求めること

外国人材採用のポイント

それぞれの業務範囲や特長、注意点を抑えたうえで、受け入れ企業様で外国人材を効果的に採用するためには、以下のポイントが重要となります。

1.受け入れ機関としての事業所要件を満たしているか確認

それぞれの在留資格について、受け入れ側が満たすべき要件を確認する必要があります。気になった在留資格について、まずは要件を満たしているか確認しましょう。

2.日本語教育の提供

介護に従事するためには、専門用語も含め一定の日本語能力が求められます。雇用後の日本語教育を重視することで、スムーズなコミュニケーションが実現します。

3.文化理解の促進

多様な背景を持つ外国人材と日本人スタッフの理解を深めるために、文化交流イベントを開催することも有効です。

※外国人を採用するメリットや課題については、下記記事をご参考ください。

  介護施設で外国人労働者を受け入れる4つの制度を徹底解説 外国人労働者採用における4つの在留資格制度を中心に、採用の流れ、メリット・デメリット、一緒に働く際の留意点について解説します。 株式会社広済堂ビジネスサポート

まとめ

この記事では、介護施設における外国人材採用のための4つの在留資格であるEPA(介護福祉士候補者)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能1号と、それぞれの業務範囲や今後のキャリアについて解説しました。
令和7年4月より、特定技能や技能実習生も訪問系サービスに従事できるようになったことからも、介護業界において外国人材は重要な役割を担っていくと言えるかと思います。今後、外国人材の受け入れのさらなる円滑化や支援体制の拡充が期待されており、受け入れに向けて知識を深めていくことが、将来の人手不足の解消につながることでしょう。
介護業界の未来の為にも、次世代の教育体制を見直してみてはいかがでしょうか。​​​​​​​


KosaidoGlobalは東証プライム上場企業である広済堂グループが提供する、外国人労働者の人材紹介サービスです。アジア11カ国の提携送り出し機関と提携し、日本国内の企業様に「特定技能」「技人国」を中心とした優秀な人材をご紹介しています。
 ・質の高い人材をご紹介できる仕組みを構築
 ・ベトナムにて日本語センターを10年運営
 ・国内17拠点を基盤とした安心の全国対応
といった強みを持っているので、外国人材の採用をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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