
介護施設で外国人労働者を受け入れる4つの制度を徹底解説
高齢化社会の進展に伴い、介護業界では人手不足が深刻化しています。こうした状況から、介護施設でも外国人労働者の採用が注目されていますが、雇用する条件や注意点についての理解が必要です。
この記事では、外国人労働者採用における4つの在留資格制度を中心に、採用の流れ、メリット・デメリット、一緒に働く際の留意点について解説します。これから外国人労働者の採用を検討している介護施設の採用担当者や、業界での人材確保に悩んでいる施設の方々にとって、役立つ情報が満載です。
介護業界における外国人労働者受け入れの現状
日本の介護業界は深刻な人手不足に直面しており、その原因の一つとして、低賃金や労働環境の厳しさが挙げられます。
こうした背景から、外国人労働者の受け入れが進んでおり、2008年からは経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシア、フィリピン、ベトナムからの介護福祉士候補者を受け入れ始めました。さらに、2017年には在留資格「介護」が創設され、技能実習制度にも介護職が追加、2019年には特定技能に介護が新設され、受け入れがさらに拡大しました。
このように、日本の介護施設では外国人労働者の受け入れが進んでいますが、在留資格によって勤務可能な施設に違いがあります。
例えば「介護」の在留資格を持つ外国人は介護福祉士の資格を持ち、施設に制限なく勤務できますが、技能実習や特定技能の外国人は、特別養護老人ホームや老人保健施設などに限られます。
外国人労働者を介護業界で雇用できる4つの制度
日本で外国人労働者を介護施設で雇用するための在留資格は、以下の4種類です。
1.在留資格「介護」
2.特定活動(EPA介護福祉士)
3.技能実習
4.特定技能
これらはそれぞれ仕組みが異なるため、施設のニーズに応じた適切な資格を選ぶことが重要です。
1.在留資格「介護」
在留資格「介護」は2017年に創設された資格で、介護福祉士資格を持つ外国人労働者を長期的に採用できるメリットがあります。最大の特徴は、在留期間更新の制限がないことです。また、介護福祉士資格に合格できるほど高い日本語能力を有しており、即戦力として期待できます。
外国人労働者の在留資格「介護」を取得する方法は、以下の3つです。
養成施設ルート
留学生などの在留資格で、専門学校をはじめとする介護福祉士養成施設に2年以上通って卒業し、介護福祉士の国家試験に合格する。
実務経験ルート
特定技能や技能実習の在留資格で介護施設等に就業し、「3年以上の実務経験」に加えて、「450時間以上の実務者研修」または「介護職員基礎研修&喀痰吸引等研修」を修了後、介護福祉士の国家試験に合格する。
EPA(介護福祉士候補者)ルート
EPA(介護福祉士候補者)として介護施設等に就業し、3年以上の実務経験を積んだ後、介護福祉士の国家試験に合格する。
※介護福祉士の国家試験の詳細など、在留資格「介護」について詳しく解説しています。
2.特定活動(EPA介護福祉士候補者)
EPA(経済連携協定)は、日本とインドネシア、フィリピン、ベトナムの間で締結され、これらの国から外国人労働者を受け入れる制度です。EPA介護福祉士候補者は、母国政府による推薦を受け、一定の要件を満たす人材であり、即戦力として期待できます。
この制度では、入国後4年目に介護福祉士国家試験を受験し、合格すれば在留資格「介護」に移行して永続的に就労可能です。
出典:厚生労働省 『外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック』
3.技能実習
「技能実習」制度は、日本で外国人労働者に介護技術を学ばせ、その技能を母国に持ち帰って活用することを目的としています。
しかし、さまざまな問題から2024年に技能実習制度の廃止が閣議決定され、新たに育成就労制度が創設されることとなりました。2027年度の導入が予定されています。
4.特定技能
「特定技能」は2019年に創設された在留資格で、介護分野を含む16の業種で外国人労働者を受け入れる制度です。技能試験および日本語能力試験に合格すると、最長5年間の就労が可能。幅広い業務に対応でき、現場配属当日から人員配置基準に含めることができます。訪問介護への従事はこれまで認められていませんでしたが、2025年4月の制度改定により、従事できるようになりました(一定の条件を満たす事業所・施設が対象となります)。
特定技能は企業が自社で外国人を採用可能ですが、支援計画の提出が必要です。支援が難しい場合は、登録支援機関に委託することも可能です。
以下に、4つの制度の特徴をまとめました。

厚生労働省『外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて』を参考に作成
外国人労働者を採用するメリットや課題は?
外国人労働者を雇用することで得られるメリットや直面する課題を解説します。
メリット
1.人材不足の解消
急速な高齢化と労働人口の減少により、介護業界は人手不足に直面しています。そのために、外国人労働者の採用は有効な対策となっています。介護分野での外国人受け入れ実績は年々増加しており、多くの介護施設にとって重要な人材確保手段となっています。
2.若い労働力の獲得
外国人労働者を介護施設で雇用することで若い人材を獲得でき、体力が必要な介護業務で活躍が期待できます。特に日本で働きたいと考えている外国人は若い人材が多く、男女問わず求職者がいるため、バランスを考慮した採用がしやすいというメリットがあります。
3.職場に活気が出る
外国人を雇用することで、職員間で教育や育成に関する話し合いが増え、共通の目標に向かって協力する機会が増えます。その結果、コミュニケーションが活発になります。利用者にとっても、外国人スタッフが一所懸命に働く姿を見ることで、声をかけたり日本語を教えたりするなど、交流の機会が増えるきっかけとなります。
4.地方の施設でも採用できる
日本人介護士の獲得は、地方では難易度が高いですが、外国人労働者は勤務地よりも他の条件を重視することが多く、地方施設でも採用の可能性が高くなります。
5.日本人スタッフのスキル向上
「教えることが上達の早道」と言われているように、外国人に業務を教える中で、マニュアルや略語の統一、業務全体の見直しなど、職場全体で整備を行うことで、日本人スタッフのスキルも向上し、介護サービスの質が高くなる効果が見込めます。
6.国際貢献につながる
外国人を介護業界で雇用することは、国際貢献につながります。外国人介護士が日本で学んだ技術や知識を自国で活かすことで、介護水準の向上や文化交流、国際的な協力関係の構築にも寄与することが期待されます。
課題
1.日本語によるコミュニケーションの壁
外国人を雇用する際、利用者とのコミュニケーションや職員同士の情報共有において、言語の壁が問題になることがあります。
これを解決するためには、外国人労働者に日本語や職場特有の言葉、高齢者の話し方を学ぶ機会を提供したり、イラストや翻訳アプリを活用することが有効です。また、日本語学校での学習や、メンター制度を導入することも重要です。
2.在留期限により帰国する可能性
技能実習生は、制度上、長期的に中心メンバーとしての活躍は難しい側面がありますが、特定技能への移行が可能なため、要件を満たせば引き続き働いてもらうことができます。
また、転職が一般的な文化である一方、就労条件に満足すれば長期的に定着して働き続ける外国人も多くいます。特に在留資格「介護」では、在留期間更新の制限がなく、長期雇用が可能となります。
3.在留資格に関する手続き・管理の工数が増える
外国人労働者を雇用する際の課題のひとつは、在留資格の手続きや管理です。外国人を雇うためには、在留資格の取得・更新や就労条件の管理など複雑な手続きが必要で、これを適切に行わないと就労が継続ができなくなる恐れがあります。
これを防ぐために、行政書士や社会保険労務士などのサポートを受けたり、専用の管理システムを導入することが重要です。
介護施設が外国人労働者の受け入れ時に行う支援
外国人労働者に介護施設で活躍してもらうための支援方法をご紹介します。
職場での定着
1.受入れの目的を職場内で共有する
外国人労働者を受け入れる目的を職場内で共有することが重要です。「現場の活性化」「国際社会への貢献」「人員体制の強化」など、目的を職員全員で理解しておけば、協力が得やすくなります。また、受け入れ前に日本人職員への研修やオリエンテーションを実施することも効果的です。
2.介護業務の標準化や言葉の使い方の見直しを行う
業務の進め方が人によって異なると、教えてもらう側が混乱するため、介護業務の標準化が重要です。また、専門用語や略語は分かりにくいため、事前に伝えるか、言葉の使い方を見直すことが効果的です。
3.日本の職場の基本的なルールを教える
仕事のルールや文化は国によって異なるため、日本の職場の基本的なルールや、介護における生活習慣を事前に教えることが重要です。
4.外国人労働者の文化や生活習慣を理解する
日本の文化や生活習慣だけでなく、外国人労働者の出身国の文化や習慣も理解し、互いに尊重することが重要です。信仰上の配慮が必要な場合や、帰省などの長期休暇の調整についても、上司と話し合って調整することが求められます。
生活基盤の整備
1.生活必需品をそろえる
外国人労働者が安心して働けるよう、住まいや契約の支援、家具・家電の貸与、携帯電話の手続きやインターネット環境の整備など、生活に必要な支援が必要です。
2.各種制度や手続きの支援を行う
ビザ手続きや住民登録、健康保険加入など公的制度の手続き支援が必要です。また、病気やケガの際には受診を勧めたり、症状を伝えるサポートをするなど、きめ細かな支援が求められます。
3.生活上のマナーやルールを伝える
食事や買い物、トイレの使い方、病院の受診方法、公共交通機関の利用方法など、日本のマナーやルールをしっかり伝え、必要に応じて同行することが必要です。
4.体調の確認、メンタル面のサポートを行う
慣れない生活はストレスを引き起こすことがあるため、定期的に体調やメンタル面の確認を行うなどのサポートが必要です。また、同じ出身国の先輩職員との交流や、海外経験のある職員がサポート役を担うことで、悩みや不安を相談しやすくなります。
地域社会になじむ
1.周辺の地域との関係づくり
地域との関係づくりのため、イベントで外国人労働者の出身国の文化や食事を紹介するなど、地域住民と交流する機会を作ります。これにより、外国人労働者が地域になじむきっかけを提供できます。
2.外国人労働者の家族に対する支援
外国人労働者が安心して働けるよう、家族への支援も重要です。例えば、日本語教室やメンタルヘルスケア、子どもの保育・教育支援などを提供する事業所もあります。
介護施設で外国人労働者と働く場合の留意点
外国人労働者を介護施設で雇用する際の留意点について、解説します。
1.相手の文化・価値観を理解・尊重する
外国人と共に働く際には、互いの文化や価値観を理解し尊重することが重要です。相手を尊重することで信頼関係が築け、職場での協力関係が強化されます。さらに、異なる文化を受け入れることで柔軟な思考や適応力が養われるため、職場全体の成長にも繋がります。
2.話しやすい雰囲気をつくる
外国人労働者が「報告・連絡・相談」の文化に慣れていない場合もあるため、話しかけやすい雰囲気を作り、質問しやすい関係を築くことが重要です。また、組織内で担当者を明確にし、コミュニケーションの方法をしっかりとサポートすることが求められます。
3.明確に伝える
5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して、相手に明確に伝えることが重要です。言葉だけでなく、実際の動作を見せて説明することで混乱や誤解を防ぐことで、鮮明な教育が可能です。
4.相手の理解度を確認する
相手の理解度を確認するために「分かりましたか?」と聞くだけでは不十分です。具体的な質問をする、メモを取ってもらい自分の言葉で説明してもらう、実際にやってもらうなど、丁寧な確認が必要です。
5.介護ソフトや翻訳アプリを導入する
外国人と日本人の介護職員が働きやすい環境を作るためには、業務の見直しやマニュアルの改善が効果的です。翻訳アプリはもちろん、誰でも理解しやすいように介護ソフトを導入したり、写真付きマニュアルなど視覚的にわかるツールを活用すると効果的です。
まとめ
この記事では、介護施設で外国人労働者を受け入れるための4つの在留資格制度について解説しました。外国人労働者を雇用することで人手不足を解消し、長期的な人材確保が可能です。そのためには受け入れ側の、言語や文化の違いに対応する環境作りが重要です。
「日本人が採用できない」「採用できてもすぐ辞めてしまう」という現状を踏まえると、外国人雇用を前向きに検討し、採用実績を積み重ねることが、今後ますます重要になってきます。外国人労働者の採用でお困りの介護事業者様は、KosaidoGlobalにお気軽にご相談ください。
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