
在留資格「特定技能」制度の概要や受入要件をわかりやすく解説
日本の労働市場は近年深刻な人手不足を抱えており、多くの企業がその解消策を模索しています。その中で注目されているのが「特定技能1号」という新たな在留資格制度です。特定技能1号は、特に12分野(旧14分野)の指定産業において即戦力となる外国人労働者の受け入れを可能にします。本記事では、特定技能1号制度の概要とその受入れ方法、そして企業が注意すべきポイントについて詳しく解説します。
特定技能1号とは?
特定技能1号は2019年に創設された新しい在留資格です。この制度は特に人手不足が深刻な業種において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるために創設されました。外国人がこの在留資格を取得するためには、日本での生活に最低限必要な日本語能力と、その分野に関する一定の技能や知識を持っている必要があります。
この制度では、宿泊業や外食業、介護などの12分野に2024年から「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が新たに追加され、全16分野が対象となりますます注目が高まっています。また、従事できる業種の幅も広まっていることから、今まで受入れをあきらめていた業種からの再検討も進んでいます。
これにより、多様な外国人労働者を受け入れることが可能となり、地域経済の活性化や企業の国際競争力の維持にもつながると期待されています。
特定技能1号の定め
「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格であり、「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
出入国管理庁の資料にはこのように説明されていますが、このままだとわかりにくいので以下のポイントを押さえておきましょう。
特定技能1号のポイント
■ 在留期間:通算で5年まで。法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) ごとに更新有り
■ 技能水準:技能試験に合格する必要あり(技能実習2号を良好に修了した場合は免除)
■日本能力:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した場合は免除)
■ 家族の帯同:原則として不可
■ 支援:受入れ企業または登録支援機関による支援の対象
特定技能の対象となる全16分野

特定技能1号による外国人の受入れ分野(特定産業分野)は以下の16分野です。以前は12分野でしたが、2024年3月に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が追加され、全部で16分野となりました。
受入企業の要件
受入れを行う企業の要件としては以下が該当します。
◎受入企業の業種が特定技能の産業分野に該当すること
◎特定技能受入れ前に該当の産業分野の協議会へ加入すること
◎特定技能外国人1号への支援実施可能な環境であること(自社支援or登録支援機関へ委託)
特定技能1号への義務的支援10項目

特定技能1号の外国人を受け入れる受入企業は当該外国人が「特定技能1号」の活動を安定的・円滑に行うことができるよう、日常生活上・社会生活上の支援の実施に関わる計画を作成の上、計画に基づいた支援を行う必要があります。特に以下の10項目が義務的支援として定められてます。
【1】事前ガイダンス
【2】出入国する際の送迎
【3】住居確保 生活に必要な契約支援
【4】生活オリエンテーション
【5】公的手続等への同行
【6】日本語学習の機会の提供
【7】相談・苦情への対応
【8】日本人との交流促進
【9】転職支援(人員整理等の場合)
【10】定期的な面接 行政機関への通報
自社支援or登録支援機関?
受入機関は特定技能1号への上記支援を実施しなければなりませんが、支援の全部又は一部を登録支援機関へ委託することもできます。
自社支援を行うには、
(1)中長期在留者(外国人)の受入れ実績の有無
(2)中立性の担保
(3)受入れ体制(書類保管、母国語体制、面談の実施等)について
の要件を満たしている必要があります。
登録支援機関とは、法務省の認可を受けており、企業に代わって外国人材のサポートを行うために登録された専門機関となります。登録支援機関という外部の知識や経験を借りることで、外国人の受け入れから就労、生活面などサポート体制が整っていない企業にとって大きな助けとなります。
すでに外国人社員の受け入れ経験が豊富で、内部に専任のスタッフやサポート体制が整っている場合、自社支援も有効となりますが、外国人材の受け入れが初めてでサポート体制に不安がある場合や、プロフェッショナルなサポートを受けたい場合は、登録支援機関の利用をご検討下さい。
受入れの手続き方法
特定技能1号の労働者を受け入れるにあたっては、雇用者はまず、自社が特定技能1号の受け入れ基準を満たしていることを確認します。 要件が合う企業は外国人労働者の募集を行った後、採用する候補者との間で労働契約を結びます。
■労働契約明記事項
・労働条件
・給与
・勤務時間
・福利厚生など
※外国人が十分に理解できる言語での記載も必要
双方の同意の下で契約締結後、出入国在留管理庁に在留資格認定証明書の交付を申請します。 企業側が自社で申請、もしくは行政書士へ依頼し申請を行います。 申請に必要な書類は非常に数が多く、主に①申請者に関する必要書類・②所属機関(受入れ企業)に関する必要書類・③分野に関する必要書類の3点に分類されます。
【1】申請者(外国人)に関する必要書類
・在留資格認定証明書交付申請書
・特定技能外国人の報酬に関する説明書
・雇用契約書の写し
・雇用条件書の写し
・雇用の経緯に係る説明書
・徴収費用の説明書
・健康診断個人票
・受診者の申告書
・1号特定技能外国人支援計画書
※詳細は出入国残留管理庁HP:申請人に関する必要書類に記載
【2】所属機関(受入企業)に関する必要書類
・特定技能所属機関概要書
・登記事項証明書
・業務執行に関与する役員の住民票の写し
・特定技能所属機関の役員に関する誓約書
・労働保険料等納付証明書(未納なし証明)※1
・社会保険料納入状況回答票(申請日の属する月の前々月までの24ヶ月分) ※1
・税務署発行の納税証明書(その3)※1
・法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年分) ※1
※1:状況に応じて準備:第2表の1・所属機関(法人)に関する必要書類・所属機関(個人事業主)に関する必要書類
【3】分野に関する必要書類
・特定技能1号評価試験の合格証書の写しまたは技能実習に関する評価調書
・日本語能力試験合格証明書の写し又は国際交流基金日本語基礎テストの合格証明書又は技能実習良好修了者証明書類
・協議会の構成員であることの証明書
・各分野誓約書等書類
・その他分野毎必要書類参照
※詳細は出入国残留管理庁HP:在留資格認定証明書交付申請 第3表1~16各分野に関する書類
上記と並行して外国人の国籍毎の手続きも行う必要があります。出入国在留管理庁から認定がおりたら日本へ入国、就業開始となります。 入国の前後には以下のような支援業務を行う必要があります。
■入国前
・事前ガイダンスの実施(自社支援or登録支援へ委託)
・寮や社宅、ユニフォーム等などの手配
・社内への周知等受け入れ体制の整備
■入国後
・入国時空港へのお迎え(自社支援or登録支援へ委託)
・生活のオリエンテーションの実施(自社支援or登録支援へ委託)
・入社関連手続き(雇用保険や健康保険、年金等事務手続き)
・定期的な面談の実施(自社支援or登録支援へ委託)
・日本人との交流促進・日本語学習機会の提供(自社支援or登録支援へ委託)
・その他、相談・苦情等の対応
日本企業にとっての受入れのメリット
日本企業にとって、特定技能や技能実習、育成就労の活用は、即戦力を確保しつつ、国際的な視点を持った人材を採用する好機となります。これらの制度を活用することにより、多様な背景を持つ人材が集まり、企業の競争力を高めることが期待されています。
労働力不足の解消
日本では少子高齢化が進み、若年層の労働力が不足しています。この状況の中、外国人労働者は必要不可欠な存在となっています。多くの産業で彼らの雇用が進み、生産力を維持あるいは向上させることができるのです。
多様性による組織の活性化
外国人労働者が組織に参画することによって、多様性が生まれます。異なる文化的背景を持つ彼らがチームに加わることで、他者にはない新たなアイデアや視点が生まれます。この多様性は、イノベーションを促進し、企業全体の競争力を向上させる要因となります。
社会的な責任の実現
外国人労働者を雇用することは、社会的責任を果たすことにもつながります。多様性を尊重し、誰もが働きやすい環境を提供することで、企業は社会的価値を向上させることができるのです。こうした取り組みは、既存の社員にも良い影響を及ぼし、職場全体のモチベーションアップに寄与します。
まとめ
特定技能1号は、日本の労働市場において重要な位置を占める在留資格です。この制度を利用することで、特定の産業分野で外国人労働者が活躍できる場が増えています。
しかし、日本国内の文化や労働環境に適応するには一定の努力が必要です。企業としても、外国人を迎える準備と対応が求められ、特定技能1号についての正しい理解と適切な運用が重要となってきます。なにから始めれば良いのかどんなことに注意したらいいのか、まずはKosaidoGlobalにご相談ください。
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