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外国人ドライバー採用の鍵を握る 免許取得期間の在留資格「特定活動55号」を徹底解説

近年、深刻な人手不足が課題となっている物流業界や旅客運送業。その課題を解決するため、2024年より特定技能1号の対象分野に「自動車運送業」が追加されました。この特定技能「自動車運送業」で外国籍人材を受け入れる際に留意すべきは、日本の運転免許証の取得または切り替えを完了してからでなければ、在留資格が取得できないという点です。

この免許取得に必要な期間、日本に滞在するために用意されている在留資格が「特定活動55号」です。本コラムでは、その目的や活動可能期間などについて詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 特定技能「自動車運送業」とは
    1. 従事可能な業務は?
      1. バス運送業
      2. タクシー運送業
      3. トラック運送業
  2. 特定技能「自動車運送業」取得の要件
    1. 「バス運転者」になるための要件
    2. 「タクシー運転者」になるための要件
    3. 「トラック運転者」になるための要件
  3. 「特定活動55号」とは
    1. 特定技能「自動車運送業」移行への準備期間
    2. 取得の要件
    3. 他の在留資格から変更することは可能
  4. 「特定活動55号」の注意事項
    1. 在留期間が短く、延長もできない
      1. 特定技能1号の在留期間には含まれない
    2. 運転業務はできない
    3. 給与は支給する
    4. 義務的支援が必要
  5. 「特定活動55号」を受け入れる企業(受入れ機関)の要件
    1. 1. 「特定技能協議会」への加入
    2. 2. 業務区分に応じた「認証」の取得
    3. 3. 道路運送法に基づく事業の適法な経営
    4. 4. 支援体制の確立
  6. 「特定活動55号」を経由した採用の流れ
    1. 【1】人材の募集・面接
    2. 【2】特定技能試験の合格
    3. 【3】雇用契約の締結
    4. 【4】在留資格「特定活動55号」の申請・取得
    5. 【5】日本の自動車運転免許を取得
      1. 「外免切替」という選択肢
    6. 【6】新人運転者研修の修了 ※バス運転者とタクシー運転者のみ
    7. 【7】在留資格「特定技能1号自動車運送業」への変更申請
    8. 【8】就労開始
  7. まとめ

特定技能「自動車運送業」とは

2024年、日本の人手不足解消に向けた重要な一歩として、特定技能1号に「自動車運送業」が加わりました。この新しい在留資格は、バス、タクシー、トラックといった公共交通および物流の根幹を担う分野で、即戦力となる外国籍人材の受け入れを可能にするものです。

特定技能制度とは、特定の産業分野において、即戦力として働くための専門的な技能や知識を持つ外国籍人材を受け入れるための在留資格です。この「自動車運送業」の追加により、各企業は深刻なドライバー不足の解決に向けて、新たな採用の選択肢を得ることになりました。

従事可能な業務は?

特定技能「自動車運送業」の外国籍人材が担当できる業務は、各区分で以下のように定められています。

どの区分においても、運行管理者等の指導・監督の下で行われ、メインの業務に付随する関連業務(清掃、運賃精算など)に従事することも認められますが、関連業務のみを行うことは認められていません。

バス運送業

(主な業務)
・運行業務…運行前後の車両点検、安全な旅客の輸送、乗務記録の作成など
・接遇業務…乗客対応、乗降時の案内、車内でのサービスなど
・関連業務…車内清掃作業、営業所内清掃作業、運賃精算・管理など

タクシー運送業

(主な業務)
・運行業務…運行前後の車両点検、安全な旅客の輸送(運転)、乗務記録の作成など
・接遇業務…乗客対応(挨拶、道案内、サービス)、運賃の収受など
・関連業務…車内清掃作業、営業所内清掃作業、運賃精算・管理など

トラック運送業

(主な業務)
・運行業務…運行前後の車両点検、安全な貨物の輸送、乗務記録の作成など
・荷役業務…荷崩れを起こさない貨物の積付けなど、積み下ろし作業の一部
・関連業務…車両点検、車内の清掃、営業所内の清掃、燃料補給など

特定技能「自動車運送業」取得の要件

特定技能「自動車運送業」で外国籍人材を受け入れるためには、採用するドライバーの種類に応じて、外国籍人材が満たすべき資格要件が細かく定められています。特に、日本語能力や運転免許の種類に違いがあるため、しっかりと把握しておくことが重要です。

「バス運転者」になるための要件

日本語試験  :JLPT N3以上
技能試験   :自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)
自動車運転免許:第二種運転免許
その他要件  :新任運転者研修の修了

「タクシー運転者」になるための要件

日本語試験  :JLPT N3以上
技能試験   :自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)
自動車運転免許:第二種運転免許
その他要件  :新任運転者研修の修了

「トラック運転者」になるための要件

日本語試験  :JLPT N4以上、(国際交流基金日本語基礎テスト、技能実習2号の良好修了も可)
技能試験   :自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)
自動車運転免許:第一種運転免許
その他要件  :なし
 

お客様の命を預かり、直接接客を行うバス・タクシーの分野では、高度な日本語能力と専門的な免許が求められます。

※特定技能「自動車運送業」についてまとめたコラムです。こちらも是非、ご一読ください。

「特定活動55号」とは

特定技能「自動車運送業」移行への準備期間

特定技能「自動車運送業」の要件で注目すべきは、いずれの場合においても、日本の自動車運転免許の取得が必要であるということです。

ただ、日本語能力試験や特定技能1号評価試験は、国によっては海外の現地で受験することが可能であるのに対し、自動車運転免許の取得は日本国内でなければできません

そのため、来日してから日本の運転免許を取得し、特定技能「自動車運送業」へ移行するまでの準備期間として創設されたのが、「特定活動55号」です。

取得の要件

バス、タクシー、トラックいずれかの車種の「特定技能1号評価試験」と「日本語試験」に合格しており、日本での就業先が確定している(企業との雇用契約がある)と、「特定活動55号」を申請することができます。

他の在留資格から変更することは可能

「技能実習」や「留学」など他の在留資格から「特定活動55号」へ変更することは可能です。既に日本国内に滞在している外国籍人材も自動車運送業へのキャリアチェンジを目指すことができます。

「特定活動55号」の注意事項

在留期間が短く、延長もできない

「特定活動55号」は、外国籍人材が日本で運転業務に従事するための準備期間として設けられた在留資格です。そのため、特定技能と比較すると期間が短く、原則として延長は認められていません。下記期間中に運転免許が取得できなかった場合は、特定技能「自動車運送業」への切り替えができず、帰国しなければならない可能性があります。

 バス・タクシー運転者の在留期間 … 最長1年

 トラック運転手の在留期間 … 最長6カ月

※期間内に在留資格変更許可申請を出していれば、特例期間として最大2か月間の在留が認められる場合があります。

特定技能1号の在留期間には含まれない

「特定活動55号」から特定技能「自動車運送業」に切り替えを行った場合、特定活動で日本に滞在していた期間は、特定技能1号の在留可能期間には含まれません。そのため、特定活動を経て特定技能1号へ移行した後も、最長在留期間である5年間日本で就労することが可能です。

運転業務はできない

「特定活動55号」は「就労準備」のための資格であるため、実際に運転業務で収益を上げる仕事に就くことはできません。しかし、実際の運転業務を伴わない、車両の清掃や備品整理、営業所内の清掃など、運行業務を支える周辺業務での就労は可能とされています。

ただし、本資格は運転免許取得に必要な教習や研修を行うために用意された在留資格ですので、周辺業務だけに常時従事することは認められていません。

給与は支給する

「特定活動55号」で日本の運転免許取得を目指す場合、企業に雇用される必要があります。雇用する企業は、「特定活動55号」の期間中も給与支給を行う必要があります。

義務的支援が必要

企業が「特定活動55号」にて在留する外国籍人材を雇用する場合、特定技能1号と同等の待遇で雇用する必要があります。そのため、特定技能制度で定められる義務的支援を実施する必要があります。

「特定活動55号」を受け入れる企業(受入れ機関)の要件

受入れ機関は、「特定活動55号」人材を受け入れるにあたり、以下の要件を満たす必要があります。これは、特定技能「自動車運送業」を受け入れるための要件と同じです。

主に以下の4つの要件をクリアする必要があります。

1. 「特定技能協議会」への加入

受入れ機関は、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員になることが義務付けられています。

この協議会は、特定技能制度の適切な運用を業界全体で進めるための機関です。入会手続きは国土交通省のホームページから行うことができ、構成員は制度の健全な発展に必要な協力を行うことが求められます。

(参照)国土交通省│自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて

2. 業務区分に応じた「認証」の取得

外国籍人材が安心して働ける環境であることを証明するため、各業務区分に応じて、以下の認証を取得している必要があります。

 バス運送業
 「働きやすい職場認証制度」認証取得

 タクシー運送業
 「働きやすい職場認証制度」の認証取得

 トラック運送業
 「働きやすい職場認証の取得」または「安全性優良事業所(Gマーク)」の取得

3. 道路運送法に基づく事業の適法な経営

受入れ機関は、道路運送法に規定される自動車運送事業を適法に経営している必要があります。

 バス運送業
 ・一般乗合旅客自動車運送事業
 ・一般貸切旅客自動車運送事業
 ・特定旅客自動車運送事業

 タクシー運送業
 ・一般乗用旅客自動車運送事業

 トラック運送業
 ・貨物自動車運送事業
 ・第二種貨物利用運送事業

4. 支援体制の確立

受入れ機関には、その外国人が日本での生活や業務を安定して継続できるよう、包括的なサポートを提供する義務があります。

 支援計画の作成
 日常生活および社会生活上の支援内容を定めた「支援計画」を作成すること

 計画に基づいた支援の実施
 作成した計画に基づき、適切な支援を実施すること

「特定活動55号」を経由した採用の流れ

以下のフローは、外国籍人材が日本の自動車運転免許を保有していないことを前提にしています。

【1】人材の募集・面接

ドライバーとして雇用する外国籍人材を決定します。

【2】特定技能試験の合格

外国籍人材が「特定技能1号評価試験」と「日本語試験」に合格する、または合格済であることを確認します。

前述したように、バス、タクシー、トラックそれぞれで必要な評価試験や日本語試験が異なるので注意すること。

【3】雇用契約の締結

企業と外国籍人材の間で雇用契約を締結します。

【4】在留資格「特定活動55号」の申請・取得

免許取得までの準備期間として、「特定活動55号」を出入国在留管理庁に申請し、在留資格を取得します。

【5】日本の自動車運転免許を取得

外国籍人材は「特定活動55号」の期間内(トラック:最長6か月、バス・タクシー:最長1年間)に免許を取得します。企業はこの取得を支援します。

「外免切替」という選択肢

外国籍人材が、日本以外の国の自動車運転免許を保有している場合は、日本で自動車教習所に通うなどして新規に免許を取得せずとも、免許の切り替えを行うだけで、日本での運転が可能となります。

※「外免切替」について詳しく解説したコラムはこちらになります。

【6】新人運転者研修の修了 ※バス運転者とタクシー運転者のみ

バス運転者とタクシー運転者に限り、入社後の新人運転者研修を修了してもらいます。

【7】在留資格「特定技能1号自動車運送業」への変更申請

上記の要件(免許取得、研修修了など)を全て満たした後、在留資格を「特定活動55号」から「特定技能1号自動車運送業」へ変更申請します。

【8】就労開始

申請が許可され次第、特定技能1号として正式に就労を開始します。

まとめ

2024年に創設された特定技能「自動車運送業」は、物流業界の人手不足を解消する鍵となります。しかし、在留資格取得には日本の運転免許が必須です。この免許取得を目的とした準備期間の在留資格が「特定活動55号」です。

本コラムでは、55号の目的や、バス・タクシー・トラック別の特定技能要件を解説しました。企業は55号の期間(トラック6か月、他1年)中に、免許取得支援と特定技能と同等の支援を実施する義務があります。この制度を正しく理解し、適切な手続きを踏むことが、外国籍人材の長期雇用と、業界の課題解決に繋がります。

 

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