
在留資格「インターン(特定活動9号)」とは?採用の流れと注意点
外国籍人材の採用を検討する企業が増える一方で、「最初から正規雇用で採用するのは不安がある」という声も少なくありません。
こうした課題に対する有効な手段の一つが、インターンシップ制度の活用です。
なかでも、海外の大学に在籍する外国籍学生を対象とした在留資格「特定活動(告示第9号/インターンシップ)」は、将来の採用を見据えた実践的な制度として注目されています。
本コラムでは、この「インターン(特定活動9号)」を活用した採用について、制度の概要から実務上の注意点まで解説していきます。
インターン(特定活動9号)の目的
1. 基本的な位置づけ
インターンシップとは一般的に、学生が在学中に企業等において、自らの専攻や将来のキャリアに関連した実習・研修的な就業体験を行うものを指します。
したがって、インターンシップはあくまで教育課程の一部であるという認識が重要です。
※実務上も、専攻との関連性や単位取得の有無など、「教育の一環であるか」が重要な判断基準となります。
2. 特定活動(告示第9号)の目的
近年では、外国籍の学生をインターン生として受け入れる企業も増えています。
その中で在留資格「特定活動(告示第9号)」は、海外の大学等に在籍する外国籍の学生が、日本企業において一定期間インターンシップを行うことを目的とした在留資格です。
将来の採用を見据えた受入れ手段として、実務に近い形で業務経験を積むことができる点が特徴です。
また、本制度の活用にあたっては、以下のような要件を満たす必要があります。
◎インターンシップが大学の教育課程の一部であること
◎受入企業に指導・受入体制が整っていること
◎専攻内容と業務内容に関連性があること
3.国内学生との違い
一方で、日本国内の教育機関に在籍する外国籍学生をインターンとして受け入れる場合は、在留資格が異なります。
これらの学生はすでに在留資格「留学」を有しているため、インターンとして就業するには、別途「資格外活動許可」の取得が必要となります。
さらに、報酬の有無や就業時間によっても扱いが異なります。
◎報酬あり → 原則「資格外活動許可」が必要
・週28時間以内:包括許可で対応可能
・28時間超:個別許可が必要
◎報酬なし → 原則、資格外活動許可は不要
インターン(特定活動9号)は、あくまで「教育」を前提とした制度であり、一般的な就労とは位置づけが異なる点の理解が重要です。
(参照)出入国在留管理庁│インターンシップをご希望のみなさまへ
※在留資格「留学」に関する詳細については、以下の記事もご参照ください。
インターン(特定活動9号)のメリット
1. 段階的に外国籍人材の雇用を開始できる
最初から正規雇用で在留資格「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の人材を採用することに不安を感じる場合、インターン生の受入れは有効な選択肢となります。
本採用前に実務を通じて適性を見極めることができるため、スキルだけでなく、コミュニケーション能力や職場との相性なども確認することが可能です。
2. 将来の採用につながる人材確保が可能
インターン期間終了後は、所定の手続きを経ることで、「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務(技人国)」といった就労系の在留資格へ切り替え、継続して雇用することが可能です。
インターンを通じて業務理解が進んでいる人材であるため、採用後の立ち上がりが早く、即戦力としての活躍が期待できます。
3.若手人材の確保につながる
インターン生は、主に10代後半から20代前半の学生が中心となるため、若手人材の確保という観点でも有効です。
採用難が続く若年層人材の確保手段としても期待できます。
リスクを抑えながら外国籍人材の採用を進められる点が、本制度の大きな特徴といえます。
インターン(特定活動9号)の注意点
1. 年齢
日本へ入国時に18歳以上であることが求められます。
2. 在留期間
在留期間は、1回につき最長1年が上限となります。
また、通算では在籍する学校の修業年限の2分の1以内とされています。
◎4年制大学:通算2年まで
◎3年制大学:通算1年半まで
3. 業務範囲
インターンシップは教育目的であるため、学生の専攻内容と関連性のある業務であることが求められます。
そのため、単純作業のみを行わせるような業務は認められていません。
また、夜勤への従事自体は可能ですが、
◎夜勤が必要な理由
◎夜間の指導・管理体制
について、合理的に説明できることが求められます。
4. 報酬
インターン(特定活動9号)は、報酬を伴うインターンシップを行う場合の在留資格です。
無報酬が前提の場合は、「文化活動」や「短期滞在」といった他の在留資格を活用することができます。
5.指導体制の整備が必要
本制度は「労働力確保」ではなく、教育・育成が前提の制度です。そのため企業には、適切な指導体制の構築が求められます。
具体的には、インターンシップ責任者の選任が必要となり、以下の事項を統括します。
(1)外国の大学との間の契約に関すること。
(2)インターンシップの実施計画の作成及び評価に関すること。
(3)インターンシップ生の受入れの準備に関すること。
(4)インターンシップ生の生活支援及び保護に関すること。
(5)インターンシップ生の労働条件,安全及び衛生に関すること。
(6)インターンシップ生からの相談・苦情への対応に関すること。
(7)地方出入国在留管理官署及びその他関係機関との連絡調整に関すること。
(8)その他適切な支援に関すること。
あわせて、インターンシップ指導員の配置(兼任可)も必要です。責任者・指導員ともに、当該業務に1年以上の実務経験が求められます。
6.受入れ人数の上限
インターン生は無制限に受け入れられるわけではありません。
教育を前提とした制度であるため、適切な指導が行える人数に制限されています。
目安は以下のとおりです。
◎常勤職員数301人以上:社員数の約5%まで
◎常勤職員数201〜300人:最大15人
◎常勤職員数101〜200人:最大10人
◎常勤職員数100人以下:最大5人(※常勤職員数まで)
※常勤職員数には技能実習生は含まれません。
制度の趣旨に沿わない運用は不許可リスクにつながるため、事前の制度理解と体制整備が不可欠です。
インターン終了後の在留資格の移行
在留資格「特定活動(告示第9号)」でインターンシップを行っている外国籍人材は、海外の大学に在籍している学生であるため、在留期間満了後は一度帰国し、大学卒業後にあらためて就労系の在留資格を取得して来日する流れが一般的です。
具体的には、「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務(技人国)」といった在留資格を新たに申請・取得し、再入国する形となります。
一方で、インターン期間中に在留資格「特定活動(告示第9号)」からそのまま就労系の在留資格へ変更することも、制度上は可能です。
しかしこの場合、
◎在籍大学の許可の取得
◎インターンシップを途中終了することに関する理由書の提出
などが必要となり、手続きは複雑になります。
さらに、就労ビザへの変更申請が必ず許可されるとは限らないため、実務上は卒業後に改めて採用・在留資格を取得する前提で計画を立てることが現実的といえます。
まとめ
在留資格「特定活動(告示第9号/インターンシップ)」を活用した採用は、外国籍人材の雇用におけるリスクを抑えつつ、自社に適した人材を見極めることができる点で、将来の採用を見据えた有効な手段の一つといえます。
実務を通じて適性や相性を確認できることや、若手人材の確保につながる点など、企業にとってのメリットも多くあります。
一方で、本制度はあくまで教育目的の制度であるため、専攻内容との関連性や指導体制の整備など、制度の趣旨に沿った運用が求められます。これらが不十分な場合、在留資格の許可に影響が生じる可能性もあります。
また、インターン終了後の採用にあたっては、在留資格の変更や再入国手続きが必要となるため、卒業後の採用まで見据えた計画設計が重要です。
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