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外国籍人材が戸惑いやすい日本の職場文化とは?~スリランカ人材編~

前回はウズベキスタン国籍の社員・ザリさんへのインタビューを通じて、日本の職場文化とのギャップをテーマにした記事を掲載しました。今回はその続編として視点をスリランカに移し、日本で働くスリランカ国籍人材が直面しやすい職場でのギャップに焦点を当てます。

多民族・多宗教社会の中で育ち、人間関係や柔軟なコミュニケーションを重んじる文化背景を持つスリランカ人材は、日本特有の働き方や価値観に対して、どのような違和感や戸惑いを覚えるのでしょうか。

本コラムでは、当社で活躍するスリランカ国籍の社員・ネトゥミさんへのインタビューをもとに、実体験やこれまでに寄せられてきた相談事例を交えながら、日本の職場で生じやすい認識のズレや、企業側が受け入れ時に意識しておきたいポイントを紐解いていきます。

職場全体の雰囲気・ルール意識


———まず、スリランカの職場全体の雰囲気について教えてください。
ネトゥミさん:スリランカの職場は、日本と比べると全体的に自由な雰囲気だと感じます。業務に支障が出ない範囲であれば、個人の裁量に任されていることが多いですね。

———具体的には、どのような点に「自由さ」を感じますか?
ネトゥミさん:例えば、職場で音楽を聴くことが認められている会社もあります。仕事に集中できていて、周囲に迷惑をかけていなければ問題にならない、という考え方です。

———その点、日本の職場はどのように違うと感じましたか?
ネトゥミさん:日本では細かいルールが明確に定められており、そのルールを守ること自体がとても重視されていると感じました。スリランカに比べ、「決まりごと」を大切にする文化が強いと思います。

———日本で働くスリランカ人材には、どのようなことを伝えておくとよいでしょうか?
ネトゥミさん:「日本で働く以上、日本のルールに従う必要がある」という点は、事前にきちんと共有しておくことが大切だと思います。

———ルールの内容以上に、「ルールを守る姿勢」が求められる、ということですね。


▶ポイント

日本の職場では、明文化されたルールだけでなく、「ルールを守る姿勢」そのものが重視されることを、受け入れの段階から丁寧に伝えておくことが重要です。あわせて、なぜそのルールを守る必要があるのかという背景や、日本には暗黙のルールが多く、書かれていない決まりも存在することを説明しておくことで、認識のズレを防ぐことができます。

服装に関する違い


———服装について、日本とスリランカでは違いがありますか?
ネトゥミさん:かなり違います。スリランカでは、服装の自由度が高い企業が多いです。

———スリランカでは、どの程度自由なのでしょうか?
ネトゥミさん:政府機関や公的企業では一定のルールがありますが、民間の企業ではかなり自由です。ジーンズで働いている人も珍しくありません。

———日本で働き始めて、印象に残ったことはありますか?
ネトゥミさん:社外の人と直接やりとりをしない部署の人でも、オフィスカジュアルな服装をしている点が印象的でした。日本では、職場全体として「きちんとした服装」が求められていると感じました。


▶ポイント

服装については、「OK/NG」を具体例(写真や着用例)とともに示し、なぜその服装が求められるのかという背景まで丁寧に説明することが重要です。特に、部署ごとに基準が異なる場合はあらかじめ明確に伝え、「ジーンズ=失礼」という感覚が前提にないことを踏まえ、日本の基準を言語化して共有する必要があります。

人間関係・上下関係について


——— 上下関係の考え方にも違いはありますか?
ネトゥミさん:上下関係は、日本のほうが厳しいと感じます。

———スリランカでは、上司や先輩の呼び方はどうしていますか?
ネトゥミさん:特に民間企業では、先輩や上司、社長であっても、Mrs. や Mr. といった敬称を付けず、名前をそのまま呼ぶことが多いです。

———かなりフラットな関係性ですね。例外はありますか?
ネトゥミさん:公的機関や、外部のお客様が多く出入りする職場では敬称をつけることもあります。ただ、日本ほど厳密ではありません。


▶ポイント

上司や先輩の呼び方については明確に指示し、敬語や敬称が重視される理由を事前に説明しておくことが大切です。フラットな関係性が当たり前という文化背景を踏まえつつ、日本ではフレンドリーな態度が失礼と受け取られたり、「距離感」が評価に直結したりする場合があることも補足するとよいでしょう。

職場の付き合い・イベント文化


———スリランカでも、仕事終わりに職場の人たちと飲みに行くことはありますか?
ネトゥミさん:ほとんどありません。宗教的な理由からお酒を飲めない人が一定数いるため、その点への配慮があるのだと思います。一方で、飲み会以外の社内イベントはとても多いです。

———具体的には、どのようなイベントがありますか?
ネトゥミさん:誕生日の社員がいれば会社でケーキを用意してみんなでお祝いしますし、季節のイベントや宗教的なお祭りも大切にされています。また、社員旅行を実施している企業も多いですね。


▶ポイント

飲み会はあくまで「自由参加」であることを明確にし、宗教や文化的理由から参加できない場合があることを社内全体で共有しておくことが重要です。あわせて、飲み会以外にもコミュニケーションの場があることを意識し、「参加しない=協調性がない」と誤解されないよう、受け入れ側の理解を深める必要があります。

言語・コミュニケーションの違い


———仕事で使う言語について教えてください。
ネトゥミさん:スリランカでは英語が非常に重要です。イギリス統治の影響もあり、面接やメール、会議など、仕事上のやりとりは基本的に英語で行われます。

———母国語以外の言語を多くの方が使いこなすというのは、日本ではあまり見慣れない光景です。スリランカ国籍の方の語学力の高さを感じますね。コミュニケーションの取り方にも違いはありますか?
ネトゥミさん:はい。スリランカでは、はっきりと「YES」「NO」を伝える人が多いです。一方、日本では直接的な表現を避ける文化があるため、状況によっては「空気が読めない人」と受け取られてしまう可能性があります。

———そのギャップを埋めるために大切なことはありますか?
ネトゥミさん:面談や事前研修の場で、日本のコミュニケーション文化について、あらかじめ伝えることが重要だと思います。


▶ポイント

日本の「婉曲表現」や「察する文化」については、「難しい=すぐには対応できない」「検討します=今回は見送る可能性が高い」など具体例を示しつつ、NG表現ではなく『こう言うと良い』という言い換えを伝えることが大切です。
また、面談や1on1で定期的にフォローし、「はっきり言わない=曖昧」ではなく、日本では相手への配慮として用いられる表現であると補足すると、より理解されやすくなります。

日本特有のマナー・働き方


———挨拶についても違いはありますか?
ネトゥミさん:スリランカでは、「Good morning」や「Bye」といった英語の挨拶が主流です

———日本で特徴的だと感じた表現はありますか?
ネトゥミさん:「お疲れ様です」「お先に失礼します」「よろしくお願いいたします」などは、日本特有の表現だと思います。事前に教えてあげると、職場に馴染みやすくなると思います。

———「報連相」についてはどうでしょうか?
ネトゥミさん:「報告・連絡・相談」という考え方は、スリランカにはあまり根づいていません。この点も、日本で働く前にしっかり伝えるべき重要なポイントだと思います。


▶ポイント

「お疲れ様です」などの日本特有のフレーズは事前に共有するとともに、報連相はトラブルを未然に防ぐための仕組みであることを説明し、「どのタイミングで」「誰に」報告・連絡・相談するのかを具体的に伝えることが重要です。
その際、「言われていないからやらない」のではなく、日本では先に共有することが信頼や配慮につながる文化であると丁寧に補足すると、理解が深まります。

時間感覚・ルール意識


———時間に対する感覚の違いはありますか?
ネトゥミさん:あります。スリランカでは、バスが時間通りに来ないことも多く、大学の先生が授業に35分遅れてくることもありました。

———それは驚きですね。仕事の時間はどうでしょうか?
ネトゥミさん:意外かもしれませんが、会社の就業時間は守る人がほとんどです。

———そうなんですね。スリランカ国籍の方は真面目な方が多いと聞くのも納得です。時間について日本で感動したことはありますか?
ネトゥミさん:市役所などの窓口業務です。仕事の手順やルールが明確で、スムーズに対応してもらえる点が印象的でした。時間がかかる場合でも、「どれくらいかかるか」をきちんと説明してくれるところが素晴らしいと感じました。


▶ポイント

就業時間・休憩時間・締切の重要性を明確に伝えるとともに、遅れる場合には「いつ・何について・どのように」伝えるのが適切か、その伝え方までセットで共有することが大切です。
その際、日本の強みである段取りの良さや丁寧な説明をポジティブに紹介し、「厳しいルール」ではなく効率よく働くための仕組みであることを伝えると、より納得感が高まります。

プライベートな話題について


———人との距離感にも違いはありますか?
ネトゥミさん:日本人は、パーソナルスペース(心理的距離)を大切にする人が多いと感じます。

———スリランカではどうですか?
ネトゥミさん:スリランカでは、プライベートな話題について質問することが「友好の証」と捉えられる価値観があります。そのため、日本人からすると、少し踏み込みすぎていると感じられることもあるかもしれません。

———最後に、日本で受け入れる企業側へのメッセージをお願いします。
ネトゥミさん:文化の違いを「良し悪し」で判断するのではなく、あらかじめ知ったうえで、言葉にして丁寧に伝えてあげることが大切だと思います。それだけで、双方のストレスは大きく減るはずです。


▶ポイント

プライベートな話題には線引きがあることを伝えつつ、「NG」と否定するのではなく、「職場では控えるのが適切」という形で説明することが大切です。
同時に、日本人側にも相手の文化背景を共有し、この分野は一方通行ではなく、双方が理解し合う姿勢があってこそ摩擦を防げるという点を伝えることが重要だと思います。

まとめ


外国籍人材が日本で働くうえで直面する戸惑いの多くは、能力や意欲の問題ではなく、「育ってきた文化や職場の前提が違う」ことから生まれています。日本の職場では当たり前とされているルールやマナー、距離感も、他国から来た人にとっては「知らなければ分からないこと」がほとんどです。だからこそ、受け入れる企業側が事前に伝え、言語化し、丁寧にすり合わせていくことが重要になります。

文化の違いを理由に線を引くのではなく、違いを理解したうえで、どう橋渡しをしていくのか。その姿勢こそが、外国籍人材が安心して力を発揮できる環境づくりにつながります。相互理解を前提とした受け入れ体制は、外国籍人材だけでなく、日本人社員にとっても、より働きやすい職場をつくるきっかけになるはずです。そうした小さな積み重ねが、これからの多様な職場づくりの第一歩になるのではないでしょうか。

 

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