
外国籍人材が戸惑いやすい日本の職場文化とは? ~ウズベキスタン人材編~
外国籍人材の採用が広がるなかで、日本の職場文化や暗黙のルールに戸惑いを感じる外国籍人材も少なくありません。それらは日本人にとっては当たり前でも、海外で育ち働いてきた人にとっては分かりにくいものも多く存在します。
そこで今回は、「外国籍人材が戸惑いやすい日本の職場文化とは?」をテーマに、当社で活躍するウズベキスタン国籍の社員・ザリさんにインタビューを行いました。ご自身の実体験に加え、ご友人やこれまでサポートしてきたウズベキスタン国籍人材から寄せられた相談事例をもとに、日本の職場で生じやすいギャップと、企業側が事前に知っておきたいポイントについてお話を伺います。
『報連相』に対する考え方
———ウズベキスタン出身の方が日本の職場でギャップを感じるのはどんなところですか?
ザリさん:話をよく聞くのは『報連相』に関することですね。
———具体的には、どういうことでしょう?
ザリさん:現場のスタッフだけで、トラブルやクレームが解決できた場面です。「もう解決したから、マネージャーには報告しなくていいと思った」と考えてしまう人が少なくありません。
———日本では解決したことも報告するのが一般的な認識ですよね。
ザリさん:そうなんです。後々、報告していないことがわかり、怒られてしまったという相談もありました。本人は「なぜ怒られたのかわからない」と感じているケースもあります。
———ウズベキスタンにおける『報連相』の感覚は、日本と異なるのでしょうか?
ザリさん:ウズベキスタンでは「報告=怒られる」と考えてしまう傾向があるかもしれません。だから、日本の職場でも『報連相』にためらいを感じてしまう人もいるんです。
———日本では細かい報告が必要な職場もありますよね。
ザリさん:私自身にも経験があります。過去に宿泊施設で働いていたときに、何も伝えずに持ち場を離れてトイレに行ったら、支配人から「どこにいたの?」と注意されたことがありました。同じような経験をした人からは「トイレに行くことを伝えるなんて、恥ずかしいから報告しにくい」という声も聞いたことがあります。
———ザリさんは長らく日本で働いていますが、『報連相』の文化についてはどのように感じていますか?
ザリさん:日本の職場に慣れた今では、「報連相は情報共有が目的であり、必ずしも怒られるものではない」と理解しています。
▶ポイント
日本の企業側が「報連相は責任追及ではなく情報共有のためのものだ」という考え方を、受け入れの段階で前もって伝えておくことが、職場のギャップを減らすうえで重要だと言えるでしょう。
『時間』に対する考え方
———時間に対する意識については、いかがですか?
ザリさん:ウズベキスタンでは、5~10分程度の遅れはあまり問題にならないことが多いです。ただ、日本では『時間厳守』が大前提ですよね。
———日本の職場だと、「9時出勤=9時から仕事開始」という認識です。
ザリさん:着替えや準備を済ませて、9時から業務を始めるということですよね。一方で、ウズベキスタン出身の方だと「9時までに職場に到着すればよい」と認識している方もいます。
———『5分前行動』が当たり前ではない、ということですね。
ザリさん:はい。ただ、その認識を入社前にしっかりと伝えていれば、トラブルの発生は防げると思います。
▶ポイント
日本では「何時に出勤するか」ではなく「何時から仕事を始めるか」が重視されるため、その前提を入社前にしっかり共有しておくことが、時間に関するトラブルを防ぐ鍵になります。
『残業』や『夜勤』に対する考え方
———『残業』や『夜勤』に対する考え方についても教えてください
ザリさん:『残業』や『夜勤』は、手当が出る分だけ給料が増えるため、歓迎する人が多い印象です。
———逆に、『残業』や『夜勤』が少ないと不安になることもあるのでしょうか?
ザリさん:あります。「想定より稼げない」と落胆してしまうんです。だからこそ、私は求人を紹介するときに、勤務時間や給与条件をかなり丁寧に説明するように心がけています。
▶ポイント
『残業』や『夜勤』に対する受け止め方は日本とは異なる場合があります。そのため、「働き方」と「収入の見込み」を事前に丁寧に説明しておくことが、入社後のミスマッチを防ぐうえで重要です。
『伝え方』に対する考え方
———日本では相手の心情に配慮して、直接的な表現を避けて伝える場合があります。この文化が誤解を招くことはあるのでしょうか?
ザリさん:あると思います。たとえば、何か希望を伝えたときに「考えておきます」と言われた場合、日本では必ずしも「OK」と受け取ってはいけませんよね。
———そうですね。
ザリさん:「夜勤に入りたい」と相談し、上司から「考えておきます」と言われた方がいました。しかし、夜勤に入れると思って待っていたものの、実際は夜勤の人員は足りていて、何カ月も入れぬまま、不満だけが募っていったそうです。
———相手の心情に配慮したはずが、不満を抱かせることにつながってしまったのですね。
▶ポイント
日本では相手の気持ちに配慮して直接的な表現を避けることがありますが、その意図が共有されないままだと、「期待して待っていたのに実現しなかった」という誤解や不満につながることがあります。
『職場における人間関係』に対する考え方
———職場の人間関係については、どんな違いがありますか?
ザリさん:ウズベキスタンの職場は、かなりフレンドリーです。そのため、企業の風土や職場の雰囲気にもよりますが、日本の職場では「お互いの距離が遠い」と感じてしまう方もいますね。
———たとえば、どのような点ですか?
ザリさん:ウズベキスタンでは、家族や恋愛などプライベートな話題に踏み込むことはよくあります。それは、相手と仲良くなりたいというサインなのです。
———日本では、相手に不快感を与えてしまう可能性もありますね。
ザリさん:はい。だから、事前に日本の職場における距離感を伝えておくことは大切だと思います。
▶ポイント
職場での距離感や人間関係の捉え方は国によって異なるため、日本ではプライベートとの線引きが重視されることをあらかじめ伝えておくことが、不要な誤解や行き違いを防ぐ助けになります。
その他:職場以外で戸惑いを感じる文化は?
———職場以外でも、戸惑いを感じることがあれば教えてください。
ザリさん:公共の場におけるマナーについては、いくつか話を聞きますね。
———たとえば、どのようなことでしょうか?
ザリさん:電車の車内で通話してしまったとか、列に並ばず、前に並んでいる人を抜かしてしまったりすることです。
———そのあたりは、日本で暮らすうえで必要となる日常的なルールですね。
ザリさん:事前に教えてもらえれば、ウズベキスタン出身の皆さんもしっかり守れると思います。ウズベキスタンでは、若者が必ず席を譲る文化があります。相手を思いやる姿勢が根付いている点は共通しています。
———宗教的な側面ではいかがでしょうか。
ザリさん:ウズベキスタンでは人口の90%以上がイスラム教徒です。ただ、もともとウズベキスタンでは国外で就業する人が多く、他国ではイスラム教徒が多くないことも理解されています。そのため、大きな戸惑いを感じることはあまりありません。
———就業する国に適応しながら、信仰を続けているのですね。
ザリさん:信仰の度合いや解釈は人それぞれです。1日5回の礼拝についても、決められた時間に行う人いれば、朝夕にまとめて行う人もいます。ヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭髪を隠す布)を着用するのかどうかも、個人の選択です。
そのため、私もイスラム教徒の方に求人をご紹介するときは、信仰に関する考えをしっかり確認するようにしています。求人企業とのミスマッチを防ぐためです。
▶ポイント
公共の場でのマナーや宗教・信仰に関する考え方は、事前に説明や確認があれば大きな戸惑いにつながりにくい分野です。文化や信仰そのものに違いがあっても、相手を思いやる姿勢は共通しているため、前もって情報を共有し、双方が無理のない環境を整えることが重要です。
まとめ
今回のインタビューを通して見えてきたのは、外国籍人材が日本の職場で戸惑う背景には、能力や姿勢の問題ではなく、「前提となる考え方」の違いがあるという点です。
報連相や時間厳守、働き方の捉え方、言葉の伝え方、人間関係の距離感など、日本では暗黙の了解とされている職場文化は、事前に説明がなければ分かりにくいものも少なくありません。一方で、相手を思いやる姿勢やルールを守ろうとする意識は共通しています。
だからこそ、企業側が日本の職場における考え方や期待値をあらかじめ丁寧に伝えることが、相互理解を深め、安心して働ける環境づくりにつながると言えるでしょう。
KosaidoGlobalでは、こうした事前教育の実施や、日本で働く心構えを身につけた特定技能人材をご紹介しています。
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