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なぜ外国籍人材は早期離職してしまうのか ― 事前教育と受け入れ体制で左右される9つの離職要因 ―

「せっかく外国籍人材を採用したのに、入社して数カ月で退職してしまったことがある」

このような声を、企業様から耳にすることは少なくありません。

しかし、実際に退職理由をひも解いていくと、その多くは入社後に初めて知った事実や、日本で働くことに対する認識のギャップに起因しています。
そしてそれらの多くは、来日前・入社前の段階で外国籍人材本人に対して行う「事前教育」や情報共有によって、防げた可能性が高いものです。

本コラムでは、当社が特定技能人材の支援業務を行う中で、雇用企業様から実際に寄せられた相談・事例をもとに、外国籍人材が早期離職してしまう主な理由と、雇用企業側がどのような備え・対応を取るべきかについて整理します。

早期離職理由とその背景および対策


【1】労働条件・収入のギャップ


面接時の説明と、実際の収入(残業時間、夜勤の有無、手取り額など)に差があると、「話が違う」「もっと稼げると思っていた」といった不満につながりやすくなります。

特に外国籍人材の場合、母国の家族への仕送りを前提として来日しているケースも多く、収入に対する想定とのズレは、早期離職の大きな要因となりがちです。

■防ぐためのポイント

・平均残業時間や月収を、できる限り実績値ベースで説明する
・繁忙期・閑散期による稼働や収入の変動を、事前に共有する
・インセンティブ制度がある場合は、支給条件や目安額を具体的に伝える

⇒来日前・入社前の外国籍人材本人への事前教育において、日本の賃金構造や企業ごとの給与体系を正しく理解してもらい、納得したうえで就労を開始してもらうことが重要です。


【2】配属・シフト・キャリアの不一致


希望していた部署に配属されなかった、夜勤に入れず収入が想定より伸びなかったなど、本人の希望と、会社の配属・シフト方針が十分にすり合わないまま入社すると、「やりたい仕事ができない」という不信感につながりやすくなります。

一方で、希望する配属ポジションによっては、資格の有無や経験年数、業務習熟度など、一定の条件が設定されている場合も多く、本人の希望だけですぐに実現できないケースもあります。

■防ぐためのポイント

・配属方針や、将来的な異動の可能性について事前に説明し、合意を得ておく
・夜勤や業務範囲の拡張に必要な「習熟基準」や「資格要件」を明確に伝える
・定期的な面談を通じて、本人の希望や認識を更新し、継続的にすり合わせる

日本でのキャリア形成は段階的に築いていくものである、という考え方を
来日前・入社前の段階で外国籍人材本人に伝えておくことが、早期離職防止につながります。


【3】人間関係・ハラスメント


上司や店長による威圧的な指導、現場側の受け入れ意識不足、無意識の偏見などから、「職場に自分の居場所がない」と感じてしまうという相談も少なくありません。

たとえ周囲に悪意や差別の意図がなかったとしても、本人が「尊重されていない」「差別されている」と感じた時点で、離職を決断するまでのスピードは一気に早まってしまいます。

■防ぐためのポイント

・管理職・現場スタッフ向けに、多文化理解や外国籍人材対応に関する社内研修を実施する
・問題が深刻化する前に相談できる、通報・相談ルートを整備する
・外国籍人材の受け入れ・定着を、人事評価やKPIに反映する

外国籍人材本人への事前教育だけでなく、受け入れ側である企業・現場・管理職の事前準備と体制整備が不可欠です。


【4】労務・コンプライアンス違反


無給での手伝い、急なシフト変更、残業代の未払い、法令に反する勤務指示など、本来は日本人と同等の条件で雇用することが義務付けられているにもかかわらず、こうした内容の相談は後を絶ちません。
外国籍人材の中には、日本の労働法令やルールを十分に理解できていないケースも多く、問題が表面化しにくいまま、不適切な状態が続いてしまうこともあります。

■防ぐためのポイント

・就業規則や労働基準法に基づく社内ルールの遵守を徹底する
・店長・管理職向けの労務・コンプライアンス教育を定期的に実施する
・タイムカードの適切な運用と、定期的なチェック・監査体制を強化する

⇒ 外国籍人材本人への事前教育と併せて、企業内における管理・監督体制の強化が欠かせません。


【5】業務基準・品質文化への不適応


職場で求められる細かな業務ルールや品質を重視した厳しい指導が、精神的な負担となるケースも少なくありません。

日本独特の「当たり前」を十分に理解できないまま、「なぜそこまで求められるのか」と戸惑いやストレスを感じてしまうこともあります。

■防ぐためのポイント

・「なぜそのルールが必要なのか」という背景や目的を含めて説明する
・動画やチェックリストを活用し、業務基準を視覚的に理解できる工夫をする
・指導内容や判断基準を、店舗や担当者ごとにばらつかせない

来日前の段階で日本の職場文化や仕事観を伝えておくことで、ルールに対する理解と納得感が高まります。


【6】本人の態度・行動に関する課題


同じミスを繰り返してしまう、注意や指導を「否定された」「責められた」と受け取り、言い訳が増えてしまうといったケースも見受けられます。

場合によっては、周囲との関係悪化や、他の従業員へのハラスメント行為が問題視され、結果的に退職・解雇に至ることもあります。

■防ぐためのポイント

・求められる行動や責任範囲を明確にした行動規範・評価基準を整備する
・指導内容や改善状況を記録し、本人と共有できる形で可視化する
・早期の段階でコーチングや配置転換を検討する

⇒ 出身国の文化や価値観によって、指導の受け止め方は大きく異なります。来日前・入社前の事前教育において、日本の職場における責任意識やルールを理解してもらうことが重要です。


【7】生活環境・地域への不適応


寒冷地の気候が合わない、通勤や買い物の不便さに直面するなど、生活面でのギャップが「想像以上につらい」という印象につながり、退職に至ってしまうケースもあります。

特に都市部以外の地域では、生活環境への事前イメージ不足が、仕事そのものへの不満へと発展することも少なくありません。

■防ぐためのポイント

・気候・交通事情・生活環境について、来日前に具体的に説明する
・防寒具の支給、送迎対応、住居探しなど、生活面のサポート内容を明示する

⇒就労前に「その地域で暮らすイメージ」を持ってもらうことが、離職防止につながります。


【8】社会的孤立・メンタル不調


職場や地域で友人ができず孤独を感じたり、悩みを相談できる相手がいないことで、精神的に不安定になり、結果として離職に至ってしまうケースもあります。特に来日直後は、言語・文化の壁により問題が表面化しにくい点が特徴です。

■防ぐためのポイント

・同国出身者コミュニティや日本語教室など、社外のつながり先を紹介する
・職場内に、気軽に相談できるバディ制度・メンター制度を設ける
・SNSグループなどを活用し、交流の場をつくる

⇒ 雇用企業や登録支援機関とは別に、気兼ねなく悩みを相談できる交友関係づくりを支援することが、メンタル不調の予防につながります。


【9】評価・処遇の不公平感


給与水準、残業時間、各種手当などに差があることで、「なぜ自分だけ評価されていないのか」と不満を抱いてしまうケースも見られます。

制度上は問題がなくても、評価基準や決定理由が十分に伝わっていない場合、不公平感だけが先行してしまう点には注意が必要です。

■防ぐためのポイント

・評価基準や昇給ルールを明確にし、透明性を確保する
・評価結果だけでなく、その理由や今後の改善点を丁寧にフィードバックする
・評価制度・処遇に関する説明資料を多言語で整備する

日本で働くうえで求められる考え方や、長期的なキャリア形成の視点を事前に共有することが、不公平感の抑制につながります。

※「来日前教育」に注目したコラムも是非ご一読ください。

まとめ

外国籍人材の早期離職は、本人の資質や意欲だけで判断できるものではありません。その多くは、来日前・入社前の情報不足や認識のズレ、受け入れの準備不足によって引き起こされています。だからこそ、採用前後のプロセスを見直し、「伝えるべきことを事前に伝え、理解したうえで働いてもらう」仕組みづくりが、定着と戦力化への近道と言えるでしょう。

 

KosaidoGlobalでは、こうした事前教育の実施や、日本で働く心構えを身につけた特定技能人材をご紹介しています。

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