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外国人ドライバー試験の受験者が堅調に推移 特定技能「自動車運送業」導入に向けて企業が今すぐ備えるべきポイント

2024年3月、自動車運送業分野が新たに特定技能制度へ追加されることが閣議決定され、日本でも外国籍ドライバーの受け入れが本格的に可能となりました。その背景には、国内の運送業界が直面する深刻な人手不足があります。2024年12月からは「自動車運送業」分野での各種評価試験も開始されるなど、受け入れ環境は大きく前進しています。

本コラムでは、自動車運送業が特定技能に追加された背景評価試験の受験者状況をふまえつつ、受け入れを検討する企業が今、取るべき具体的なアクションについて解説します。

特定技能制度に自動車運送業分野が追加された背景

特定技能制度に自動車運送業分野が追加された背景は、大きく制度的な課題の顕在化(2024年問題)少子高齢化による労働不足という2つの要因が大きく影響しています。


2024年問題


2024年4月から、自動車運転者(ドライバー)に対して「時間外労働は 年960時間まで」という新ルールが本格的に適用となりました(従来は時間外労働に明確な上限がありませんでした)。加えて、「改善基準告示」の改正により、拘束時間(運転時間+休憩時間+待機時間)の上限も引き下げられています。

これらの変更は、ドライバーが健康的に働ける環境づくりを進める一方で、同じ人数で従来と同じ運送量を確保することが難しくなるという新たな課題を生むことになりました。


少子高齢化


自動車運送業界では、労働力の中核を担う 45〜59歳が約半数を占め、平均年齢も50代前半に達するなど、高齢化が急速に進んでいます。若年層の業界離れが続く一方で、ベテランドライバーの引退時期が迫り、深刻な後継者不足が顕在化しています。長時間労働や不規則な勤務形態が敬遠されやすいことも影響し、持続的な輸送力確保には、労働環境改善や多様な人材の受け入れが不可欠となっています。


以上の2点の要因により、国内人材だけでは安定的に物流・旅客輸送を維持することが難しい状況となっていました。しかし、従来の「技能実習制度」では自動車運送業が対象外であったため、外国人ドライバーの受け入れには制度上の制約がありました。(※技能実習制度は本来、開発途上国への技能移転を目的としており、国内の労働力不足を補う制度ではありません。そのため、制度目的と需要の不一致から、運転業務は技能実習の対象に含まれていませんでした。)

こうした背景を踏まえ、2024年3月29日に自動車運送業が特定技能制度へ正式に追加され、企業が外国人ドライバーを直接雇用できる道が開かれました。これにより、安定した輸送体制の確保、生産性の向上、国際的な人材循環の促進 といった効果が期待されています。

特定技能とは

特定技能制度は、日本の深刻な人手不足を補うため、一定の技能や日本語能力を備えた外国人が、対象となる分野において就労できるように設けられた制度です。日本では労働人口が年々減少していますが、従来の技能実習制度は「人材育成」を目的としており、即戦力となる人材を十分に確保するには限界がありました。そこで、「労働力の確保」を目的とする制度として特定技能が創設されました。

2019年に制度が開始され、現在は受け入れ可能な分野が拡大し、16分野での就労が認められています。特に介護、外食業、飲食料品製造業、農業など、慢性的な人材不足が続く分野で活用が進んでいます。

特定技能「自動車運送業」分野における3区分

特定技能「自動車運送業」分野には、以下の3つの区分があります。


バス運送業


路線バスや観光バスなどの運行を支える業務です。安全な旅客輸送と質の高い接遇が求められます。

(主な業務)
・運行業務…運行前後の車両点検、安全な旅客の輸送、乗務記録の作成など
・接遇業務…乗客対応、乗降時の案内、車内でのサービスなど
・関連業務…車内清掃作業、営業所内清掃作業、運賃精算・管理など


タクシー運送業


個人の移動を支える重要なインフラです。安全運転技術に加え、地域知識と丁寧な接客が中心となります。

(主な業務)
・運行業務…運行前後の車両点検、安全な旅客の輸送(運転)、乗務記録の作成など
・接遇業務…乗客対応(挨拶、道案内、サービス)、運賃の収受など
・関連業務…車内清掃作業、営業所内清掃作業、運賃精算・管理など


トラック運送業


日本の物流の根幹を担う分野です。安全な運転と、貨物を守るための荷役作業が求められます。

(主な業務)
・運行業務…運行前後の車両点検、安全な貨物の輸送、乗務記録の作成など
・荷役業務…荷崩れを起こさない貨物の積付けなど、積み下ろし作業の一部
・関連業務…車両点検、車内の清掃、営業所内の清掃、燃料補給など


なお、メインの業務に付随する関連業務(清掃、運賃精算など)への従事も認められますが、専ら関連業務のみを行うことは認められていません。


各区分における在留資格申請の必須要件


特定技能「自動車運送業」分野で外国籍人材を採用するためには、応募者が日本語能力専門技能、および運転免許の要件をクリアしている必要があります。

特に、バス・タクシーとトラックでは必要な日本語レベルや免許の種類が大きく異なるため、採用計画に応じて確認が必要です。

特定技能に必要な「評価試験」とは

特定技能の在留資格を取得するためには、各分野ごとに実施される評価試験に合格する必要があります。「自動車運送業」の評価試験は、バス・タクシー・トラックの3区分に分かれており、それぞれの運転業務に必要な知識や技能を有しているかを確認する内容となっています。


「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」における3つの区分


 ◆自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)

 ◆自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)

 ◆自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)

※受験資格や実施方法など評価試験の詳細を解説したコラムも是非、ご一読ください。

「評価試験」受験者数の推移

(参照)一般財団法人 日本海事協会│自動車運送業分野特定技能1号評価試験実施状況の月次報告

特定技能「自動車運送業」の評価試験は、2024年12月より受験が開始されています。受験者数の月別推移については、上記の表をご参照ください。なかでもトラック区分の受験者が最も多く、全体の 7~8割を占めています。これは、トラック業務では人を運ぶ業務がほとんどなく、バスやタクシーと比べて特定技能ビザ取得に必要な日本語能力の要件が相対的に緩いため、受験しやすいことが一因と考えられます。

また、総受験者数が順調に増加している背景には、日本国内に加えて カンボジア・インドネシア・ミャンマーなど海外でも試験が実施され、母国で受験できる環境が整ったことも挙げられます。今後、外国籍ドライバーを採用する企業が増加していく中で、受験者数も引き続き増えていく可能性が高いでしょう。

導入を検討している企業が今取るべきアクション


1. 早期採用活動の開始


特定技能「自動車運送業」の人材は、採用してから実際に就労できるようになるまで 半年〜1年程度 を要します。これは、特定技能「自動車運送業」の申請には 日本国内で日本の運転免許を取得していることが必須であり、免許取得までに一定の期間がかかるためです。そのため、人手が必要になってから採用活動を開始すると、希望する就業開始時期に間に合わない可能性があります。採用から就業開始までのプロセスを正確に把握し、逆算して採用計画を立てることが重要です。

日本の運転免許取得前の期間については、「特定活動55号」という在留資格で日本に滞在することが認められています。ただし、滞在期間の上限や就業可能な業務範囲には制限があるため注意が必要です。

※「特定活動55号」についての解説記事はこちらからどうぞ。

また、自動車運送業分野の特定技能ビザ取得には、日本の運転免許の「新規取得」または「外免切替」が必要です。免許センターは混雑している場合が多く、スケジュールに余裕を持って計画することが求められます。

※「外免切替」について詳しく解説している記事へのリンクです。


2. 特定技能所属機関としての要件整備


特定技能外国人を自動車運送業で採用する企業は、以下【1】~【4】の要件を満たし、必要な認定を事前に取得する必要があります。

【1】 協議会への加入

自動車運送業分野特定技能協議会への加入が必須。
加入は国土交通省サイトから申請でき、承認をもって構成員として登録される。

【2】 区分別の認証取得

バス・タクシー:「働きやすい職場認証制度」
トラック     :同認証または Gマーク(安全性優良事業所)

※認証は申請 → 審査 → 認定の流れで、Gマークは申請から認定まで約1年程度かかることが多い。

【3】 適法な運送事業の経営

分野ごとに定められた事業許可(一般乗合、一般乗用、貨物自動車運送事業など)を取得していること。

【4】 特定技能1号への支援体制

支援計画の作成。
計画に基づく生活支援・職場定着支援の実施。
企業自身が支援するか、登録支援機関へ委託する方法も選択可能。

まとめ

特定技能「自動車運送業」の追加は、2024年問題をはじめとする業界の構造的課題に対し、大きな転換点となりました。深刻化する人手不足を補うために外国籍人材を活用できるようになったことで、物流・旅客輸送の安定確保や生産性向上への期待が高まっています。一方で、受け入れには採用から就業開始まで 半年~1年程度 を要し、運転免許取得や申請手続き、免許センターの混雑など、時間的な制約が生じる点には注意が必要です。必要な時期から逆算した早期の採用活動と、制度理解に基づく計画的な準備を進めることが、円滑な受け入れと長期的な人材定着につながるでしょう。

 

KosaidoGlobalは東証プライム上場企業である広済堂グループが提供する、外国人労働者の人材紹介サービス・登録支援機関です。アジア諸国の送り出し機関と提携し、日本国内の企業様に「特定技能」「技人国」を中心とした優秀な人材をご紹介するとともに、人材の活躍や定着に向けた手厚いフォローも提供します。

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トラック・バス・タクシー業界
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外国籍人材の雇用における法務・労務の第一人者である杉田昌平弁護士が、自動車運送業における特定技能制度の適用と実務上の留意点について解説します。従事可能な業務範囲、受け入れ要件など、事業者が押さえておくべきポイントを整理。適切な制度運用と法令遵守に役立つ情報をご提供します。

また当日は、セミナー後のアンケートにご回答いただいた方に登壇資料をプレゼントする予定です。

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