
ミャンマーの「ティンジャン(水かけ祭り)」が示す家族の絆~日本企業が理解すべき文化と温かいサポート~
ミャンマーでは、家族や地域社会との絆を非常に大切にしています。祝祭日は単に休息の日ではなく、日々の喧騒を離れて心をリセットし、人との関係を再確認するための大切な時間です。中でも、4月に行われる「ティンジャン(水かけ祭り・旧正月)」は一年で最も盛大な行事であり、国中が活気あふれる明るい雰囲気に包まれます。日本で働くミャンマー人にとっても、この時期は特別な意味を持っています。
ティンジャン(水かけ祭り)とは
「水かけ祭り」は、「Thingyan Festival(ティンジャン祭り)」とも呼ばれています。これは仏教の新年を祝う行事で、本来は神聖な水で身を清める儀式です。
毎年4月13日から16日までの4日間、人々は互いに水を掛け合い、その翌日である17日が新年とされています。1月1日を新年とする日本人からすると、少し不思議に感じるかもしれません。
もともとは仏像を洗い清める儀式だったと言われていますが、今では「旧年中の汚れや不幸を洗い流し、清らかな心と身体で新しい年を迎えよう」という意味を込めて、人に水を掛け合うようになりました。
ミャンマーでは水は涼しさを表すだけでなく、「穢れを清め、災いの火を消す力」を持つと考えられています。そのため、思いやりの気持ちを込めて水を掛け合うことは、相手の悩みや苦しみといった“心の悪火”を消すという意味も込められています。
ただし、ミャンマーは宗教に敬意を払う国です。僧侶や僧院へ向かう人には水を掛けないようにしています。また、高齢者や郵便配達員にも配慮して水を掛けるのを控えています。
このようにティンジャンは、遊びの中にも思いやりと敬意を大切にする、ミャンマーらしい温かい文化と言えるでしょう。
マンダレーのランリョウッ・ティンジャン
ミャンマー本国で行われるティンジャンの中でも、マンダレーの「ランリョウッ・ティンジャン(လမ်းလျှောက်သင်္ကြန်)」はひときわ特別です。
これは、若者や家族が伝統衣装を身にまとい、陽気な音楽に合わせて通りを練り歩き、水を掛け合って新年を祝うものです。笑い声が飛び交うその光景はとても華やかで、見ている人の心まで明るく照らします。
この文化には、「皆で喜びを分かち合い、清らかな心で新年を迎える」というメッセージが込められています。マンダレーのティンジャンは、人と人との強いつながり、そして地域社会の温かさを感じさせる、特別な行事なのです。
日本で開催されるティンジャン
最近では、日本各地でミャンマー人が集まり、ティンジャンを祝うイベントが盛んに行われています。東京、大阪、名古屋などの都市では、ミャンマー人コミュニティが中心となり、会場を借りて水を掛け合ったり、伝統音楽の演奏や踊りを披露したりしています。
イベントでは、多くの若者がボランティアとして協力し、皆で一丸となって盛り上げます。会場にはミャンマー料理の販売や、家庭料理をふるまうブースもあり、日本人も含め多くの方が楽しむ姿が見られます。
本国とは異なり、日本では4月ではなく5月のゴールデンウィークにティンジャン祭りが開催されることが多くなっています。これは、4月は仕事で忙しい人が多いため、5月の方が集まりやすいという配慮からです。5月のイベントには、日本に住むミャンマー人が全国から集結し、まるで本国のような明るい雰囲気に包まれます。
ボランティアも多数参加し、歌や踊り、民族衣装のファッションショーなども行われます。このような行事を通して、離れて暮らすミャンマー人同士が絆を深め、ふるさとの文化を守り続けています。
家族と再会する大切な時間
ミャンマーでは家族が人生の中心にあります。多くの人が地方で働いており、ティンジャンの時期は一年ぶりに家族の元へ帰省する人が少なくありません。この時期には、家族全員が顔を揃え、親や祖父母に丁重なお祈りを捧げ、互いの健康と幸せを願い合います。
したがって、ティンジャンは単なる休日ではなく、「家族との再会を果たすための大切な時間」なのです。日本で働くミャンマー人にとって、この時期に帰国できないことは、強い寂しさやストレスにつながることもあります。
しかし、最近ではオンラインで家族と絆をつなぐ人も増えています。ビデオ通話で親や兄弟と画面越しに向き合い、遠く離れていても礼儀正しく挨拶を交わしたり、新年の言葉を伝えたりします。中には、サプライズで家族にプレゼントを送ったり、子どもの学費を仕送りする人もいます。帰国が叶わなくても、「家族を思う深い気持ち」は決して変わることはありません。
企業がこのような文化や、従業員の家族への思いを理解し、少しでもサポートすることは、彼らにとって計り知れない大きな励ましとなるでしょう。
多文化理解と温かいサポートの具体例
日本の企業がミャンマー人従業員の文化や考え方を理解し、より良い職場環境を構築するために取り組むことができるサポートの具体例をご紹介します。
(1) 文化理解を促進するための社内情報共有
ミャンマーの主要な祝祭日や文化を紹介するポスター、または社内メールを活用し、全従業員の理解促進を図ります。
(2) 社内でのティンジャン交流イベント実施
小規模な交流イベントを企画・開催することで、ミャンマーの文化を体験的に共有し、多文化理解を深める機会とします。
まとめ
ティンジャンは、ミャンマー人にとってまさしく一年で最も大切な行事です。それは、家族と愛情を分かち合う時間であり、感謝を伝える時間、そして心を清め、新たにする時間です。
日本という異国の地においても、その文化を守り続け、互いに支え合う彼らの姿は、心を打つものがあります。企業がこの文化を理解し、先述の通り合理的かつ人道的な対応を取ることは、従業員の幸福と企業への信頼を大きく高め、真に国際的な職場づくりへとつながります。
ティンジャンは単なる「水のお祭り」ではありません。「人と人の心を結ぶお祭り」なのです。
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