
外国人を採用したのに、その業務は任せられない?特定技能と技人国の違いをわかりやすく比較!
「英語対応スタッフとして採用した技人国の外国人材に、人手不足だから清掃から配膳などの全般業務を担当させてしまう」
実は、このような対応が在留資格違反や不法就労と判断される可能性があることをご存じでしょうか。
近年、外国人雇用の適正化に向けて入管による確認が厳しくなっており、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格で採用した外国人に対して、実際には現場の業務や清掃などを担当させていたケースが問題視されています。
技人国は専門知識を活かす業務のための在留資格であり、業務内容によっては不法就労と判断される可能性があります。
このようなトラブルを防ぐためにも、企業は「特定技能」と「技人国」の違いを正しく理解することが重要です。
本記事では、それぞれの制度の特徴や業務範囲の違いについてわかりやすく解説します。
【この記事のポイント】
✅特定技能と技人国の違い
✅それぞれで従事できる業務内容
✅企業側の支援義務の違い
✅自社がどちらを選ぶべきかの判断基準
その業務、本当に任せて大丈夫?
特定技能と技人国の違いは、「現場業務が認められているかどうか」です。
特定技能と技人国は、どちらも外国人が日本で働くための在留資格ですが、従事できる仕事内容は大きく異なります。
現場業務を担当できる特定技能に対し、技人国は専門知識を活かす業務が対象です。
この違いを理解せずに採用を進めると、思わぬ法令違反につながる可能性もあります。
特定技能の種類
そもそも、特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、在留期間や更新条件に違いがあります。
まずは特定技能1号として就労を開始し、一定の要件を満たしたうえで特定技能2号へ移行することが可能です。
特定技能1号は在留期間の通算上限が5年と定められていますが、特定技能2号には在留期間の上限がありません。
そのため、更新を続けることで長期的に日本で働くことが可能となります。
長く活躍してもらえる人材を採用したい企業にとって、特定技能2号への移行は大きなメリットといえるでしょう。
特定技能と技人国の違いを一覧表で解説
まずは両者の違いを一覧で確認しましょう。
比較項目 | 特定技能 | 技人国 |
正式名称 | 特定技能 | 技術・人文知識・国際業務 |
目的 | 人手不足分野の労働力確保 | 専門的・技術的業務への従事 |
学歴要件 | 原則不要 | 原則として大学卒業・専門学校卒業または実務経験が必要 |
日本語試験 | 原則必要(技能実習修了などで免除の場合あり) | 一部要件あり※ |
従事可能な業務 | 現場作業・技能を要する業務 | 専門職・技術職・事務職など |
単純労働 | 可能 | 原則不可 |
対象分野 | 16分野 | 分野の限定なし(学歴・職歴と業務内容の関連性が必要) |
企業の支援義務 | 特定技能1号はあり | なし |
在留期間 | 1号は通算5年まで、2号は更新可能 | 更新可能 |
(表)特定技能と技人国の違い
企業が採用する際には、「現場作業を任せたいのか」「専門知識を活かした業務を任せたいのか」が大きな判断ポイントになります。
※2026年4月から、技人国において日本語能力の確認が強化されました。ただし、すべての外国人材が対象ではなく、主に通訳・接客・営業など語学力を活用する業務で、かつ受入企業がカテゴリー3・4に該当する場合に、日本語能力を証明する資料の提出が求められます。
業務内容の違い
特定技能
特定技能は、即戦力として現場で働く外国籍人材向けの制度です。
介護、建設、外食、宿泊など、人手不足が深刻な業界での就労が認められています。
特定技能で可能な業務例
- 介護施設での夜勤業務
- 夜間の巡回や見守り、排泄介助、食事介助などを担当 - 地方の温泉旅館でのインバウンド対応
- 英語でチェックイン対応や館内案内を行いながら、客室清掃やレストランサービスにも従事 - 人手不足の飲食店でのホール・キッチン業務
- 接客、配膳、レジ対応に加え、調理や調理補助を担当 - 都内の大型オフィスビルでの清掃業務
- 共用部の清掃や衛生管理、床面洗浄などを担当
✅このように特定技能では、現場で直接サービスを提供する業務や、複数の現場業務を横断して担当させることができます。
技人国
技人国は専門的・技術的な知識やスキルを活用する業務が対象です。
学歴や職歴と業務内容との関連性が求められます。
技人国で可能な業務例
- IT企業でのシステムエンジニア業務
- 社内システムの開発・運用やプログラミング、ネットワーク管理などを担当
※ 単純にコードを入力するだけの作業ではなく、社内でのコミュニケーションが発生する業務であることが求められます。 - ホテルでの接客・レセプション業務
- 海外からの宿泊客へのチェックイン対応や館内案内、問い合わせ対応などを多言語で担当 - 空港内の大手ブランド免税店での販売・通訳業務
- 海外旅行客への商品説明や接客、通訳、免税手続き対応などを多言語で担当 - 物流会社での貿易オペレーション業務
- 海外取引先との英語でのメール対応や輸出入に関する書類作成、納期調整などを担当
✅ 技人国の大きな特徴は、専門知識や語学力を活かした業務に従事できることです。
一方で、倉庫内での荷物の仕分けや運搬作業、客室清掃のみを担当させるなど、専門性を必要としない現場業務を中心に従事させることは、技人国の在留資格の趣旨に適合しません。
企業の支援義務の違い
企業側の負担で大きく異なる部分です。
特定技能
特定技能外国人を受け入れる企業には、外国人材が安心して日本で働き生活できるよう、義務的支援10項目を実施する義務があります。
主な支援内容は以下のとおりです。
特定技能外国人に対する義務的支援10項目

(参照)出入国在留管理庁│義務的支援10項目
これらの支援は受入企業が自社で実施することもできますが、多くの企業では専門知識や対応工数が必要となるため、登録支援機関へ委託しています。
特に、住居探しや役所手続きへの同行、多言語対応が必要な相談窓口の設置などは企業単独での対応が難しいケースも少なくありません。
そのため、登録支援機関を活用することで、特定技能外国人の受入れから就業後の定着支援までをスムーズに進めることができます。
技人国
支援の義務はありません。
ただし、
✅ 生活支援やフォロー体制を整えることで、定着率向上につながります。
企業は特定技能と技人国のどちらを採用すべき?
採用目的によって選択すべき在留資格は異なります。
特定技能がおすすめの企業
- 人手不足を解消したい企業
- 介護・宿泊・外食などの現場業務を担う人材を採用したい企業
- 即戦力として活躍できる人材を採用し、将来的な戦力として育成したい企業
- 介護・外食・宿泊・ビルクリーニングなど、特定技能対象16分野の企業
技人国がおすすめの企業
- システムエンジニアや設計職などの専門職を採用したい
- 海外との取引きや貿易業務を担うグローバル人材を採用したい
- ホテルフロントや販売職など、多言語対応ができる人材を確保したい
- 長期的なキャリア形成を前提に人材を育成したい
よくある質問
Q.技人国から特定技能、または特定技能から技人国へ変更できますか?
A. 条件を満たせば可能です。
例えば、留学生が技人国で就職した後に業務内容の変更によって特定技能へ移行したり、特定技能として経験を積んだ後に学歴や職務内容の要件を満たし、技人国へ変更するケースもあります。
Q. 特定技能と技人国では在留期間に違いがありますか?
A. 違いがあります。
特定技能には「1号」と「2号」があります。特定技能1号は通算5年まで在留できますが、一定の要件を満たし、特定技能2号へ移行することで在留期間の更新に上限なく日本で働き続けることが可能です。
実際に、当社でご紹介している外国籍人材の多くは、特定技能2号への移行を目標としており、長期的に日本でキャリアを築きたいと考えています。
中には、入社後わずか半年~1年でリーダーや現場責任者に昇格し、その後実務経験を経て、特定技能2号の試験に挑戦する方もいます。
近年では、優秀な外国人材の定着を目的として、企業側が資格取得のための受験費用を補助したりするなど、特定技能2号への移行を支援するケースも増えています。
一方、技人国は在留期間の更新回数に制限がなく、要件を満たせば長期間の就労や永住申請も目指すことができます。
将来的なキャリア形成という点では、特定技能2号・技人国のどちらも長期雇用を前提とした制度といえるでしょう。
Q. 特定技能の外国籍人材は夜勤やシフト勤務ができますか?
A. できます。
例えば介護施設での夜勤業務や、宿泊施設でのシフト勤務、飲食店での営業時間帯に応じた勤務など、人手不足が深刻な現場で活躍することが可能です。
まとめ
特定技能と技人国の最大の違いは、「現場人材向けの在留資格か、専門職向けの在留資格か」という点です。
- 現場作業を担う人材を採用したいなら「特定技能」
- 専門知識を活かす人材を採用したいなら「技人国」
と、採用する職種や業務内容に応じて適切な在留資格を選択することが重要です。
外国籍人材採用では在留資格ごとに認められる業務内容が異なるため、制度を正しく理解したうえで採用活動を進めることが大切です。
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