2026年3月11日(水)に開催した【トラック・バス・タクシー業界『特定技能』外国人ドライバー採用セミナー】。外国籍人材の雇用における法務・労務の第一人者である杉田昌平弁護士が、自動車運送業における特定技能制度の適用と実務上の留意点について解説します。従事可能な業務範囲、受け入れ要件など、事業者が押さえておくべきポイントを整理。適切な制度運用と法令遵守に役立つ情報をご提供します。

本レポートでは、セミナーの内容を抜粋してご紹介します。

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登壇者

弁護士法人Global HR Strategy
代表弁護士 杉田 昌平 氏

慶應義塾大学大学院法務研究科特任講師、名古屋大学大学院法学研究科日本法研究教育センター(ベトナム)特任講師、ハノイ法科大学客員研究員、法律事務所勤務等を経て、現在、弁護士法人Global HR Strategy 代表社員弁護士、独立行政法人国際協力機構国際協力専門員(外国人雇用/労働関係法令及び出入国管理関係法令)、慶應義塾大学大学院法務研究科・グローバル法研究所研究員

株式会社広済堂ビジネスサポート
グローバルサービス部 
佐藤 暖美

大学卒業後、広済堂ビジネスサポートに入社。
グローバルサービス部の営業職として、介護や外食など多岐にわたる業界を担当。
日々、新しい視点と情熱をもって、お客様のニーズに最も適したソリューションを提供することを常に心がけ、事業の成長を力強くサポートしている。

サマリー

「忙しくて全部読むのは大変…」という方に向けて、本セミナーの重要なポイントをまとめました。是非、こちらをお読みください。


1. 外国人雇用は構造的な流れ


◎在留外国人376万人/就労者230万人

◎2022年以降3年で100万人増

◎ドライバー不足を背景に、自動車運送業でも外国籍人材の受け入れが解禁


2. 自動車運送業は「特定技能1号」で受け入れ


◎対象職種:トラック・バス・タクシー

◎日本企業による直接雇用

◎生活支援(10項目)は企業責任


3. 他分野と異なる最大の特徴


◎日本の運転免許が必須(国際免許不可)

◎日本語要件あり
 ・トラック:N4以上
 ・バス・タクシー:N3以上

◎業務範囲は比較的広く、積み込み等の関連業務も可


4. 受け入れ企業の必須条件(重要)


◎自動車運送事業の適法な許可

◎Gマーク または 運転者職場環境良好度認証 → この2点を満たさないと受け入れ不可


5. 実務のカギは「特定活動」


◎免許は日本でしか取得不可
 → 特定活動で来日 → 免許取得 → 特定技能へ

◎特定活動中は運転不可だが、作業は可

◎引っ越し業態は特に相性が良い

セミナーレポート


1. 日本における外国人雇用の現状と変化


杉田氏
まずは、外国人雇用の状況について、2006年から2024年までの推移を見ていきます。

2006年時点では、日本に住む外国人は208万人でした。2024年については、日本に住む外国人は376万人、そのうち230万人が就労しているという状況です。つまり、日本に住む人の約3%が外国人ということになります。また、日本で働く人の約3%も外国人という状況です。

「3%」と聞くと、意外と少ないと感じる方もいるかもしれません。

しかし、日本全体で派遣形態で働いている労働者の数は、おおよそ212万人前後とされています。
つまり現在では、日本で働いている外国人労働者の数は、派遣労働者の数をすでに上回っているという状態です。

ただ、より注目すべきなのは人数そのものよりも増加のスピードです。日本の外国人雇用は、2022年を境にまったく別の世界と言っていいと思います。

2023年から2024年にかけて、日本に住む外国人は、1年間で35万人増加しました。35万人という増加がどれほどの規模かというと、群馬県前橋市の人口が約35万人です。つまり、1年で県庁所在地クラスの都市が1つ増えるようなスピードで外国人を受け入れているということになります。

このように、年間30万人を超える受け入れは、2022年以降に初めて始まった現象です。結果として、この3年間で外国人は約100万人増加しました。一方、それ以前を見てみると、2006年から2024年までの18年間で増えた人数は約168万人です。

では、なぜこうなったのか。
2020年から2021年にかけては、新型コロナウイルスの影響により、2年間で約17万人が日本を離れる結果となりました。

2022年以降、状況は一変します。
この3年間で100万人の受け入れが進みましたが、その中身は年ごとに変化しています。

2022年は、最も多かったのが留学生でした。これは、コロナ期間中に入国を待機していた留学生が一斉に来日したためです。2023年には、技能実習や特定技能といった、産業・サービスの現場で働く在留資格が増加し始めます。2024年にはさらに増加し、技能実習・特定技能に加え、高度人材とされる「技術・人文知識・国際業務」も増えています。

これは間違いなく、少子高齢化による人手不足が背景にあります。
2022年頃から国内での採用が急速に難しくなり、結果として外国人雇用に踏み切る企業が増えているのです。2025年にはさらに増加し、日本に住む外国人は初めて400万人を超え、413万人に達すると見込まれています。この3年間で100万人という規模は、石川県、大分県、宮崎県、山形県、富山県、香川県といった県が3年で1つ増えるのと同じ規模です。また、仙台市、千葉市、福岡市、大阪市といった政令指定都市が3年でひとつ増える規模とも言えます。

産業やサービスを何とか維持しようとする中で、国内採用が難しくなり、2022年以降、多くの企業が外国人雇用に本格的に取り組み始めた。その姿が、これらの数字からはっきりと見えてきます。

そして、こうした流れの中で解禁されたのが、自動車運送業分野への外国人受け入れだと言えるでしょう。


2. 自動車運送業における特定技能制度の概要と実務ポイント


自動車運送業における特定技能制度の概要

杉田氏
今回解禁された自動車運送業は、特定技能制度という仕組みによって外国人材を受け入れることになります。

特定技能制度とは、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、日本の企業に直接雇用されて働く制度です。

企業が外国人を受け入れる際には、「特定技能1号」として雇用契約を結び、法律で定められた基準を守って受け入れる必要があります。また、特定技能外国人に対しては、生活面での支援を行うことが義務づけられています。

この生活支援については、企業が自社で実施することも可能ですし、登録支援機関に委託することもできます。


特定技能制度と対象分野


杉田氏
特定技能制度は、自動車運送業に限った制度ではありません。実は対象分野は非常に広く、2026年4月の改正により、『リネン』『物流倉庫』『資源循環』が解禁され、19分野が対象となる予定です。

今回は、この中でも自動車運送業、つまり、トラック・タクシー・バスのドライバーに焦点を当てて見ていきます。

なお、2026年1月の閣議決定で追加された「物流倉庫」分野では、貨物運送事業者も受け入れが可能になります。
そのため、物流分野全体で、今後さらに外国人材の受け入れが広がっていくと考えられます。


現時点での受け入れ状況


杉田氏
では、実際に自動車運送業でどれくらい受け入れが進んでいるのかというと、2025年6月時点では、まだ10名程度にとどまっています。

これは、2024年3月末に閣議決定されて以降、試験制度や協議会の整備など、制度を実際に動かすための準備に時間がかかっていたためです。

ただし、制度が整い次第、自動車運送業で実際に採用される外国人は徐々に増えていくと見込まれています。


自動車運送業における特定技能の特徴


杉田氏
自動車運送業における特定技能制度には、主に3つの特徴があります。


① 受け入れ可能な業務

対象となるのは、
 ●トラック運転手
 ●タクシー運転手
 ●バス運転手

いずれも「ドライバー職」としての受け入れが可能です。


② 運転免許の取得が必須

他の特定技能分野と大きく異なる点として、日本で業務を行うためには、日本の運転免許を取得する必要があります。免許がなければ乗務はできません。


③ 日本語能力の要件

タクシー・バスの運転手については、日本語能力試験(JLPT)N3レベルが求められます。これは中級程度の日本語力に相当し、比較的高い日本語能力が必要です。

今後、バス分野では要件緩和が検討されていますが、いずれにしても高い日本語能力が求められる仕事であることに変わりはありません。


実際にできる業務内容


杉田氏
自動車運送業で特定技能外国人が従事できる業務を、トラックドライバーを例に見てみます。

主な業務は、
 ●トラックの運行業務
 ●貨物の積み込み・積み下ろし
 ●荷崩れを防ぐための適切な積載
 ●目的地での荷下ろし

これらは「主たる業務」として認められています。

また、関連業務として、
 ●車両の清掃
 ●運行前後の片付け

といった業務にも従事することが可能です。

自動車運送業は、他分野と比べて関連業務として認められる範囲が比較的広いという特徴があります。

たとえば引っ越し事業者の場合、トラックへの荷物の積み込み・積み下ろしは主たる業務として認められます。さらに、日本人と同様の立場で行う作業であれば、家屋内への搬入といった作業も関連業務として認められます。

このように、物流と密接に関わる業務については、受け入れ対象となるケースが多いと考えられます。


自動車運送業における雇用主側の要件


杉田氏
まず、雇用主側(受け入れ企業側)の要件から整理します。自動車運送業分野で特定技能外国人を受け入れるためには、主に4つの要件をクリアする必要があります。


① 自動車運送事業を営んでいること

第一に、自動車運送事業を適法に営んでいることが必要です。
国土交通省の許可を受けたうえで、自動車運送事業を行っている必要があります。


② 一定の認証を受けていること

次に、以下のいずれかの認証制度を取得していることが求められます。

 ●全日本トラック協会が実施する安全性優良事業所認定(Gマーク)
 ●一般財団法人 日本海事協会(ClassNK)が実施する運転者職場環境良好度認証制度

いずれか一方でも取得していれば要件は満たしますが、どちらも取得していない場合は受け入れができません。


③ 新任運転者研修の実施

バス・タクシー分野では、新任運転者研修の実施が必要です。これは日本人運転者に対してすでに実施している研修と同様の内容であり、特別にハードルが高いものではありません。


④ 分野別協議会への加入

国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入が必要です。他分野でも共通して設けられている制度で、特段難しい手続きではありませんが、加入を忘れると受け入れができなくなりますので注意が必要です。


杉田氏
次は、他分野と共通する要件です。


⑤特定技能雇用契約の締結/契約当事者の基準

入管法で定められた特別な雇用契約を結ぶ必要があります。

審査は、
 ●契約内容そのもの
 ●契約当事者(企業)の適格性
の2つの観点から行われます。

契約内容については、労働時間・報酬・待遇などについて日本人と差別的な扱いをしないことが基本です。

一点注意が必要なのが、外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な配慮を行うことです。有給休暇の残日数がない場合でも、無給休暇を認めるなど、合理的な配慮が求められます。

また、
 ●過去1年間に非自発的離職者を出していないか
などの企業の雇用管理体制も審査対象となります。


雇用主側で特に重要なポイント


杉田氏
形式的な要件は複数ありますが、実際に最も重要なのは次の2点です。

 ●自動車運送事業の許可を適法に取得しているか
 ●上記いずれかの認証制度を取得しているか

この2点を満たしていない場合、特定技能外国人の受け入れはできません。


自動車運送事業の種類と対象範囲


①旅客自動車運送事業

人を運ぶ事業の場合、以下が対象となります。

 ●一般旅客自動車運送事業
 ・路線バス(一般乗合)
 ・観光バス(一般貸切)
 ・タクシー(一般乗用)

 ●特定旅客自動車運送事業
 ・会社送迎バス
 ・スクールバスなど
 (利用者が特定されているもの)


②貨物自動車運送事業

物を運ぶ事業については、次が対象です。

 ●一般貨物自動車運送事業 (いわゆる緑ナンバーのトラック)
 ●特定貨物自動車運送事業 (特定の荷主のみから委託を受ける事業)
 ●貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー) ※制度上は対象だが、認証制度を取得できないため、実務上は受け入れ不可

また、貨物利用運送事業(通運事業)
(トラック・鉄道などを組み合わせたドア・ツー・ドア輸送)についても対象となります。

なお、白ナンバー車両による自家用輸送は対象外です。


認証制度のポイント整理


 ●Gマーク → トラック事業者のみ対象
 ●運転者職場環境良好度認証制度 → バス・タクシー・トラックすべて対象

いずれも、法人単位で1事業所でも取得していれば可とされています。ただし、申請時期や審査期間を考えると、受け入れを検討する場合は早めの取得が必須となります。


人材側(外国人本人)の要件


杉田氏
次に、働く側(外国人本人)の要件です。ここには他分野にはない、自動車運送業特有の条件があります。


① 日本の運転免許の取得

最大の特徴は、日本の運転免許を取得する必要があることです。これは他の特定技能分野にはない要件です。


② 日本語能力

 ●バス・タクシー分野:日本語能力試験N3以上 (今後、一部緩和の可能性あり)
 ●分野共通要件:JFT-Basicまたは日本語能力試験N4以上


③ 技能・研修要件

 ●自動車運送業分野の特定技能1号評価試験への合格
 ●新任運転者研修の修了(該当分野)


1号特定技能外国人支援(生活支援)の内容


杉田氏
特定技能雇用契約を結ぶことに加えて、最後の要件となるのが「1号特定技能外国人支援」、すなわち 生活支援の実施です。

この生活支援については、法律で定められた10項目の支援を必ず行う必要があります。


① 事前ガイダンス

外国人が日本に来る前、または在留資格を変更する前に、仕事内容、労働条件、生活上のルールなどについて事前に説明します。


② 出入国時の空港送迎

入国時・帰国時の空港まで、必ず送迎を行う必要があります。ここで注意が必要なのは、「最初に日本に上陸する空港」が対象になる点です。例えば、北海道で就業する場合でも、入国地が成田空港であれば、成田空港まで迎えに行く必要があります。


③ 住居の確保

外国人が住む住居について、
 ●住居探しの支援
 ●会社で借り上げる
など、住居を確保するための支援が求められます。


④ 生活オリエンテーション

入社後、生活オリエンテーションとして、
 ●日本での生活ルール
 ●困った時の相談先
 ●行政手続きの概要
などを説明します。


⑤ 公的手続きへの同行

住民登録などの行政手続きは、説明だけではなく、実際に同行することが義務です。


⑥ 日本語学習機会の提供

日本語学校や日本語教室など、日本語学習の機会に関する情報提供を行います。


⑦ 相談・苦情対応

生活上や職場での困りごとについて、相談および苦情に対応する体制を整える必要があります。


⑧ 日本人との交流機会の提供

地域のお祭りや行事など、地域社会との交流につながる機会の案内・提供を行います。


⑨ 転職支援(やむを得ない場合)

万が一、受け入れ企業での雇用継続が困難になった場合には、
 ●推薦状の作成
 ●職業紹介(許可がある場合)
など、次の職場につなぐための支援を行います。


⑩ 定期的な面談

3か月に1回以上、定期的な面談を実施します。表で『多言語』マークがついているものについては、外国人が理解できる言語(できる限り母国語)で行う必要があります。


労働者側(外国人本人)の要件


杉田氏
ここまでが受け入れ企業側の要件です。続いて、働く側(外国人本人)に求められる要件を整理します。


① 技能試験への合格

自動車運送業分野の特定技能1号評価試験に合格する必要があります。


② 日本の運転免許の取得

日本で乗務するためには、日本の運転免許が必須です。
 ●国際免許では乗務不可
 ●外免切替 または 教習所での取得が必要
実務上は、日本の交通ルールに慣れるという意味で、教習所に通って準中型免許を取得する方法が主流になりつつあります。準中型免許を取得すれば、2t車の運転が可能になります。


③ 日本語能力要件

 ●トラック分野:日本語能力試験 N4以上
 ●バス・タクシー分野:日本語能力試験 N3以上
 (今後、一部緩和の可能性あり)

日本語能力は、JLPT(N1~N5)で測られ、
 ●N5:基礎的な日本語が理解できる
 ●N4:日常的な日本語がある程度理解できる
 ●N3:現場で使われる日本語を概ね理解できる
という位置づけです。


④ 分野別の試験合格が必要

特定技能評価試験は、
 ●トラック
 ●バス
 ●タクシー
それぞれ別個に実施されます。

そのため、トラック分野の試験に合格しても、そのままバスやタクシーに乗務することはできません。他分野に移る場合は、改めて該当分野の試験に合格し、併せて必要な免許を取得する必要があります。


運転免許取得の考え方と実務上のポイント


杉田氏
特定技能1号評価試験に合格した後、次の大きなハードルとなるのが運転免許の取得です。日本で車を運転する方法は、実務上は次の3つがあります。

 ●国際運転免許
 ●外国免許切替(いわゆる外免切替)
 ●教習所に通って取得


国際運転免許は不可

まず国際運転免許についてですが、分野別運用Q&Aに明確に記載されており、国際免許のままでは自動車運送業分野で乗務することはできません。したがって、必ず日本の運転免許を取得する必要があります。


外国免許切替(外免切替)について


杉田氏
海外で運転免許を取得している場合、「外国免許切替」という制度を使い、日本の免許を取得することができます。これは道路交通法に基づく制度で、
 ●ペーパーテスト
 ●実技試験
に合格すれば、一定の試験を免除された形で日本の免許が交付されます。ただし、近年この外免切替は厳格化され、合格率が大きく下がっています。

また現在は、
 ●予約が非常に取りづらい
という事情もあり、6か月の特定活動期間中に1回しか受験できない可能性もあります。

 

そのため、 「外免切替で本当に免許が取れるのか」 「万一失敗した場合にリスクが大きすぎないか」 という点は、慎重な検討が必要です。


教習所での免許取得が主流になりつつある理由


杉田氏
こうした背景から、現在は教習所に通って免許を取得する方法を選ぶ企業が増えています。

教習所で免許を取得するメリットは、
 ●日本の交通ルール・運転感覚を体系的に学べる
 ●確実に「準中型免許」を取得できる
 ●乗務開始後の事故リスクを抑えられる

という点です。

特に準中型免許を取得すれば、2t車の運転が可能となるため、自動車運送業分野では最も現実的な選択肢となっています。


免許取得費用に関する注意点


杉田氏
ここで非常に重要なのが、免許取得費用の扱いです。

特定技能制度では、
 ●一定期間働いたら免許取得費用を免除する
 ●途中退職したら費用を返還させる
といった仕組みは、不当な違約金・拘束にあたるとして明確に禁止されています。

たとえば、
 ●「3年働いたら免許費用50万円を免除する」
 ●「途中で辞めたら免許費用を返してもらう」
こうした設計は認められていません。

免許費用を会社が負担する場合でも、退職時に返還を求める仕組みを設けると、受け入れ不可となる可能性がありますので注意が必要です。


「免許がないと来日できない」問題と特定活動


杉田氏
ここで一つ、制度上の大きな矛盾があります。
 ●特定技能1号を取得するには → 運転免許が必要
 ●日本の運転免許は → 日本に来ないと取得できない
この「鶏と卵」の関係を解消するために設けられているのが、在留資格「特定活動」です。


特定活動での入国フロー(例:トラック)

 1. 海外で
  ○日本語試験合格
  ○特定技能1号評価試験合格

 2. 特定活動(6か月)で来日

 3. 日本で
  ○教習所通学 or 外免切替

 4. 運転免許取得後
  → 特定技能1号へ在留資格変更

バス・タクシー分野については二種免許が必要なため、特定活動期間は最大1年となります。


特定活動期間中にできる業務


杉田氏
特定活動の間は、当然ながら運転業務はできません。

一方で、次のような業務は認められています。
 ●免許取得に関する手続き
 ●新任運転者研修の受講
 ●運送業務の中の関連業務(積み込み・積み下ろし等)
そのため、引っ越し事業者は特定活動期間中でも比較的受け入れやすい業態と言えます。

複数人で乗車し、
 ●運転は日本人
 ●外国人は作業員として同乗
という形で業務に入ることが可能だからです。逆に、一人乗務が前提の業態では、特定活動期間中の就労は難しくなります。


採用ルート:海外採用と国内採用


杉田氏
最後に、受け入れの仕組みです。採用ルート大きく2つあります。


① 海外から採用する場合

海外居住者を採用する場合は、
 ●日本の職業紹介事業者
 ●現地の送り出し機関
両方を通す必要があります。

日本の職業紹介事業者が、現地で許可を受けた送り出し機関と連携し、採用・支援を進める形になります。


② 国内から採用する場合

すでに日本に在留している外国人を採用する場合は、送り出し機関は不要です。重要なのは「国籍」ではなく、物理的に日本にいるかどうかです。いずれの場合も、窓口は職業紹介事業者兼登録支援機関になるのが一般的です。


国選びの視点(補足)


国によって交通ルールは大きく異なります。

 ●日本と同じ右ハンドル・左側通行
 → インドネシア、ネパール、スリランカ など

 ●左ハンドル・右側通行
 → ベトナム、フィリピン、カンボジア など

決定的な要因ではありませんが、とっさの判断が求められる運転業務では、近しい交通環境の国出身者は慣れているという面はあるのではないでしょうか。

加えて、
 ●日本語教育の水準
 ●日本との制度・文化的親和性

を考えると、スリランカなどは自動車運送業分野において有望な国の一つと言えるでしょう。


3. 質疑応答


質問1.第2種免許に海外運転歴は使えるか

佐藤氏
海外での運転経験は、第2種免許の運転経歴に含めることができますか?

杉田氏
含めることは可能です。

ただし、

 ●運転歴を証明する正式書類

 ●正確な翻訳(対応できる翻訳業者は限定的)

これらが揃って初めて認められます。また注意点としては、海外の運転歴を含めるかどうかは、教習所によって取り扱いが異なります。確認は必要です。

質問2.将来の育成就労制度への影響

佐藤氏
2027年以降の育成就労制度への移行は、自動車運送業に影響がありますか?

杉田氏
自動車運送業分野では、育成就労制度での受け入れは認められません。したがって、引き続き、特定技能での受け入れが中心になります。

一方で、育成就労に物流倉庫分野が追加されるため、育成就労で倉庫業務に従事しながら運転免許を取得して、将来的に自動車運送業の特定技能に切り替えるというルートが考えられる点は、今後の変化の一つと言えるでしょう。

(※その他の質疑応答については、是非アーカイブ動画をご覧ください。)

▼ アーカイブ動画は無料です ▼

佐藤氏
それでは本セミナーを終了させていただきます。改めて杉田先生、本日は貴重なお話ありがとうございました。

杉田氏
どうもありがとうございました。

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